安楽死③各国の安楽死に対する考え方
安楽死といっても積極的安楽死、消極的安楽死、尊厳死、自殺幇助などたくさんの用語がある事が分かった。国によっては積極的安楽死は認めていないけど自殺幇助は認めるなど、微妙なニュアンスの違いによって医師が罪に問われたり問われなかったりする。もう少し内容を細かく見ていこう。
安楽死出来る国は少ないみたいだけど、その中でもみんな同じ考え方をしている訳じゃないみたいだね。
そうだね。安楽死というものが一体どういうものなのかを国民がしっかり考えた事がなかったりするし、積極的安楽死、消極的安楽死、尊厳死、自殺幇助(じさつほうじょ)など、それぞれ同じ意味だと思っている人も多いようだね。
スイスは安楽死出来るから日本からもその目的で行く人がいるっていう番組を見たんだけど、スイスは安楽死自体を認めていないんだよね?
その通りだよ。スイスは積極的安楽死は認めていないんだ。だけど、自殺幇助は罪に問わない。だから、お医者さんが薬を注射するんじゃなくて、死を求める人は、自分で薬を飲むか、点滴のストッパーを自分で開けるんだよ。
積極的安楽死も自殺幇助も同じようだけど、これだけの違いでお医者さんが罪に問われるかどうか決まるんだね。
ベルギーでは自殺幇助は認められていない
西欧の国々の中にはカトリックの文化が色濃く反映されている国がある。カトリックの教えでは自殺は殺人よりも罪が重いという認識があったりするようだ。ベルギーでは積極的安楽死は認められてはいるが、自殺幇助は法的に認められていない。スイスのような方法は法律違反となるので、安楽死をする際は医師による注射のみが用いられる。しかし「連邦監督評価委員会」が自殺幇助は安楽死を行う方法として認められるという解釈を発表した。未だ曖昧な部分はある。安楽死は健康保険適応外である。また、心理的苦痛を理由とした安楽死も認められています。
スペインでは安楽死は認められていないが・・・
スペインもローマ・カトリック教会の影響を強く受けている国である。安楽死、自殺幇助共に認められていないが、国民の教会離れが進んでおり、90%が経験なカトリック教徒であった国民も、今では70%まで落ちているようだ。元々政教分離がなされていない独裁政権で、唯一の合法宗教がカトリックという歴史がある。今は人工妊娠中絶や同性婚の普及運動など、カトリック教会の教えに背く活動が出始めている。安楽死が認められるべきだという意見もあり、尊厳協会が合法化を目指している。
オランダは安楽死に健康保険が適応される
オランダでは2001年4月10日、オランダ議会上院は賛成62%で「要請に基づく生命の終焉ならびに自殺幇助に関する審査法(いわゆる安楽死法)」を制定した。ガイドラインに沿って自殺幇助、積極的安楽死を行なった医師は嘱託殺人罪に問われなくなった。終末期に限定されていない上、耐え難い痛みも肉体的な痛みに限定していないので、認知症や精神疾患の患者も安楽死を行えている。適用年齢は12才以上。12才から16才は保護者の承諾が必要。「耐えられない痛み」は患者が判断するもので個人差がある。「回復の見込みがない」は患者ではなく医師が判断すること。医師一人で判断することはなく、中立な立場の医師の判断が必要。(スイスも同様)スイスでは安楽死前に弁護士により許可が必要だが、オランダでは不要。医師に全権委託されている。安楽死の費用はすべて健康保険で支払われる。オランダでは積極的安楽死と自殺幇助を特に法的に区別していない。