細胞にも記憶能力がある?
最近の発見で、脳を持たない単細胞生物にも経験を記憶し判断する能力があるものがいる事が分かってきた。私たちは記憶も思考も判断も全て脳が行なっていると思っている。しかし、今度この認識は変わっていく可能性がありそうだ。
ディアボロ先生!学校で脳の中の海馬(かいば)ってとこが記憶を司る(つかさどる:役目として仕事をする)って聞いたんだ!他にも脳の中にはいろんな役割をする場所があって、しかも怪我とかで一部が無くなっても、若い脳は他の部分が失った部分の役割を担うんだって!すごいね!
そうみたいだね。脳はいろんな働きがあるし、今喋りながら座った姿勢を維持しながら心臓も動かして呼吸もしながら色々思い出したりしているよね。意識しないことも勝手にしてくれるのは脳が無意識に働いてくれているおかげ。脳はまだまだ分かってない事が多いと言われている。さらに、最近の発見で脳以外にも記憶を司る事ができるものが発見されたんだ。
記憶って脳だけが出来るんじゃないの?
脳のないモジホコリは記憶と学習ができる
モジホコリは多核体(たかくたい)の単細胞生物。原形質流動(げんけいしつりゅうどう)によって移動できる。湿った日陰で生息するんだけど、モジホコリは高度な知能を持っていると言われているんだ。
多核体:複数の核を有する細胞。動物の筋肉細胞など。
原形質流動:細胞の内部で核と細胞質が流れるように動く現象のこと。
脳がないのに知能がある?どうして分かったの?
動物学者のオードリー・ドゥストゥール博士が、モジホコリが移動する経路に障害物をおいて、どう反応するか確認したんだ。モジホコリは障害物に気がついた時、移動速度が遅くなったんだけど、何度も繰り返し実験すると障害物上を通過しても問題ないという事がわかり、移動速度が落ちなくなったらしい。という事は、その障害物の存在を記憶し、判断する知能があるという証明になるのではと言われている。しかもその記憶力は1年前の行動を記憶しているという。
じゃあ僕らの体の細胞一つ一つにも知能があるかもしれないの?
そうかもしれないけど、それはまだ分かっていないよ。あくまでもモジホコリという単細胞生物での実験だからね。でも、人間だって細胞の集まりな訳だし、そういう可能性は否定できないよね。
迷路を最短で結ぶ不思議なモジホコリ
これどういう実験?
迷路にモジホコリをびっしり敷き詰めておいて、迷路のスタートとゴールにモジホコリの餌をおくんだ。そうすると、餌に気がついたモジホコリがスタートとゴールを結ぶ経路にだけ集まるようになって、結果的に最短ルートだけにモジホコリが集中したという実験だね。知能がある証明になりそうだね。
効率を考えられるんだね。
そうかもしれないね。これもよく分かってない事だけど、内臓の移植を受けた人が、移植後に趣味が変わったって話がある。その趣味は移植してくれた人の趣味だったって事で驚きのニュースとしてかなり前だけど取り上げられた事があったね。
そんな話を聞いたら、やっぱり細胞にも記憶があるんだって思うね!
実際、記憶の仕組み自体よく分かってない事が多いし、細胞に記憶がないって言い切れないよね。
モジホコリは脳がなくても記憶力や判断力がある。時速4㎝で移動可能。体を半分に切断されても自己修復ができ、性別は720種類もある。1973年5月、アメリカのテキサス州の民家の庭で発見され、動物でも植物でも菌類でもないこの生命体は一体何なのかと話題になった。2019年10月19日より、フランスのパリ動物園で一般公開される。単なる一つの発見でも、もしかすると人間の脳の働きの解明につながるような発見がされるかもしれない。