紙はどうやって出来るの?
紙は木から作られているということは知っているけど、どうやって作られているのかまで知っている人は少ない。また、紙を作るのにどれくらいの木が必要なのか。一緒に見ていこう。
ディアボロ先生!紙って木から出来てるんでしょ?木をどうやったら真っ白なペラペラの紙に変えられるの?
木には繊維がたくさん含まれているんだ。その繊維を取り出して、漂白して加工することでようやく紙が出来るんだよ。
紙が出来るまでの工程
①木材チップの加工・・・木を破砕(はさい:粉々にすること)して小さなカケラにします。これを木材チップと言い、この木材チップを同じサイズ、厚みを揃えます。
②繊維抽出・・・木材チップに薬品を加え、高温、高圧で煮て、リグニン(樹脂)を溶かし繊維を取出します。
③パルプの洗浄・・・パルプとは繊維抽出の工程で抽出された繊維のことで、主成分はセルロースです。このパルプを洗浄して異物を除去します。
④酸素脱リグニン・・・②の工程で残ったリグニンを酸素で分解します。
⑤漂白・・・薬品でパルプを漂白します。
木の繊維が紙になるんだね!このセルロースっていう繊維は木にたくさんあるの?
木には水分が含まれているけど、木から水分を除けば、木の70%はセルロースから出来ているんだ。
セルロースはなんで紙に向いているの?
セルロースはヒモみたいなものなんだけど、引っ張る力に強いんだ。この一本一本が絡み合うように作るから紙は頑丈になる。紙が便利なところはたくさんあるけど、その一つは薄いところだよね。薄くて丈夫だから本やノートとして重ねて使えるようになる。
なるほど〜!でも植物には繊維があるよね。食べ物でも食物繊維って良く聞く。木以外からでも紙って作れるんじゃないのかな?
紙は木以外からでも作られている
その通りだよ。木以外からでも紙は作られている。パルプの原料は「木材パルプ」「非木材パルプ」「古紙パルプ」「合成繊維パルプ」がある。「非木材パルプ」はマー君が言ったように植物で出来たパルプのことで、ケナフっていう草やリンターっていう綿の実に付着する短毛、竹やサトウキビなんかが素材として使われているよ。
木だけが紙の原料じゃなかったんだね!古紙パルプって使い終わった紙をもう一回材料にして紙を作るってこと?
そうだね。インキなどが付着してるから、漂白して再利用するんだ。合成繊維パルプは人工的に作られた繊維を素材として使われたパルプだね。
一本の木から作られる紙の量
一本の木から作られる紙の量ってどれくらいなの?
もちろん木の大きさにもよるけど、A4のコピー用紙13,000枚くらいと言われているよ。
すごい量だね!だけど、学校でも会社でもものすごい量の紙を使っているよね。そう考えるとものすごい量の木が毎年切られているんだよね〜。
そうだね。それに本やノート、資料なんかに紙が紙が使われているだけじゃなくて、ティッシュやトイレットペーパー、紙おむつから紙パックと、紙は本当に多くのところで使われているから、毎年失われている木の量は想像を絶するよね。
意外にも紙おむつだけで年間約1,000万本の木が
テイッシュやトイレットペーパーの無駄遣いをやめようという気持ちを持つ人は多いけど、紙おむつは無駄遣いをやめようという考えで取り組めることは少なそうだよね。そんな紙おむつは年間約1,000万本の木が必要だと言われている。
1,000万本!?想像できない量だよ〜!
私たちがお金の面だけでなく資源の節約という観点で紙の無駄遣いをしないと考えた時に出来ることは、一つ二つじゃないよね。例えば、ティッシュを使わずハンカチを使うとか、ノートはちゃんと使い切るとか、コピーは両面でとるとかね。
本当だね。当たり前のように使い捨ててるけど、みんながちょっと節約するだけで大きな節約になるんだろうね!
新聞紙が消える未来?
マー君は新聞は毎日読んでるらしいね?
そうだよ!ママが毎日新聞を読みなさいって言うんだ。
その新聞が今ではほとんどスマホやパソコンで読めるのは知ってるかな?
知ってるよ!僕の家は新聞を取ってるから新聞紙だけど、スマホとかで見れるのは知ってるよ!
新聞はテレビと違って情報をみんなに届けるのが遅いよね。それは印刷と配達という時間のかかることをしなければならなかったからだけど、もしみんながスマホやパソコンを使うのが当たり前の時代がきたら、新聞紙は要らなくなるよね。そうなるとネット上にボタン一つで記事を投稿できて、その瞬間にみんなが閲覧(えつらん)出来るようになる。最新情報が今までよりも早く手に入るし、紙を使わなくてよよくなる。
絶対そうなって欲しいな!僕は本を読むときはほとんど電子書籍なんだ。図書館で本を借りたりするけど、電子書籍を持っていたら、それにたくさんの本を入れておけるから便利。でもディアボロ先生の話を聞いていたら、電子書籍も紙を使わないから環境にとっては良いものだね!
先生もそう思うね。先生の時代は電子書籍は読みにくいから普通の本の方が良いって言う人がいたけど、実際に使って見ると、軽いし持ち運びが便利だしバッテリーがかなり長持ちだし本当に便利だと思ったのを覚えているよ。それに環境にも良いだろうから、新聞も電子書籍と同じような方向にどんどん進んでいくだろうね。
子どもの教育現場でパソコンやタブレットを使うのが良いことなのかどうなのかという議論がある。私はどちらも併用すべきだと思っている。会社員時代に文字を書くという動作はほとんどなかった。書類にサインするくらいで、その書類を作るのもパソコンで作っていた。会議もパソコンを持ち込んでいた。ただし、取引先やクライアントとの打ち合わせの時や、頭の中のイメージを記録しておきたい時などは手帳に書くようにしていた。それは文章だけでなく簡単な絵と文字を組み合わせて書くことで、あとで読み返した時にイメージを思い起こしやすかったからだ。
文字だけではイメージを咄嗟に記録するのは非常に難しい。そういう時にノートとペンは非常に有効だと今でも思っている。しかし、それ以外に関しては如何に正確に早くタイピング出来るか、如何に早く検索出来るかがこれからの時代必要だと思っている。
昔と違って、知りたいことは容易に調べられるようになった。すべての答えがネット上にある訳ではないにしろ、「紙は何から出来ているか」と検索すれば、多くのサイトで多くの答えを得られるようになった。これからは多くの知識を持っているだけでは社会人として一人前として認められる訳ではなく、多くの情報を抽象化して、様々な問題をリンクさせ、自分なりに考えられ、しかも自己主張を論理立てて出来る人が重宝されるようになる。
私自身、人を採用する側を経験させてもらっていたが、自己主張が出来るかどうかは非常に重要だと感じていた。さらに、その自己主張が他人を納得させられるようなものでなければならない。その為には多くの情報を持っているのは前提として当たり前であり、尚且つ自分でそれらの情報に対して疑問を多く持ち、自分なりに調べることができ、自分なりの答えを持つという習慣が必要なのだ。
私はネット社会になり便利な世の中だと実感しているものの、多くの情報を持っているにも関わらず、自分で考えるという思考をせず、情報を鵜呑みにしている人を多く知っている。それは本を読まない人に多いような気がしている。Twitterのような文字数の少ない情報は読みやすいが、多くの情報を削除しシンプルでセンシティブな文章であることが多い。そしてそういう情報を多くの人が欲しがるが故にTwitterのようなSNSが普及するのであろう。
しかし、本は初めから最後まで読めば、欲しいシンプルな情報だけでなく、なぜそう至ったのか、それに関わる情報なども同時に知る事ができ、体系立った情報を手に入れる事ができる。簡易な情報収集としてのネットの便利さと同時に、読書という情報収集も必要ではないかと感じている。
読書は子どもの教育に今までもこれからも必要であるし、スピーディーに情報アクセス出来る能力も必要だ。そういった意味で子どもの教育現場にパソコンやタブレットがあっても良いのではないかと思っている。
しかし、それは日本の場合中学生以上で良い。中学入学までは遊ぶのが仕事であり、多くの事に興味を持ち、自分なりに仮説を立てて考えるという活動が重要だと思っているからだ。中学生までの子どもにとって実体験は非常に重要で、その経験があるからこそネット上の文字を読むだけで、その世界に立体的なイメージを持って理解が出来るはずだからだ。
大人になればパソコンやスマホが使えなければ仕事ができない時代はくるし、現にそうである。しかし、タイピングや検索に時間がかかる人は非常に多い。義務教育期間にそれらの能力はある程度取得しておくべきであろう。新聞や本のほとんどがスマホなどのデバイスで閲覧出来るようになれば、もっと若い世代にも情報取得の機会が増えるはずだ。
新聞、本などが紙を使わない媒体となれば、環境に良いだけでなく、スピーディーな情報収集、持ち運びが容易という利点もセットでついてくる。
紙おむつやティッシュやトイレットペーパーなども、いつかもっと環境に優しい代替え素材、再生可能素材で生まれ変わる時代もいずれ来るようになればと願っている。