石炭って何?

火力発電に使われている石炭。CO2排出を抑える世界的取り組みが進められている中でも、石炭は日本の発電量の3分の1を占めています。なぜまだ石炭が使われるのでしょうか?石炭はいつ頃から使われるようになったのでしょうか?そもそも石炭とは何かという疑問から一緒に見ていこう。

燃える石「石炭」

マー君
マー君

ディアボロ先生!石炭って何?石炭は火力発電でも使われているよね?石なのにどうして燃えるの?

石炭は日本の発電を支える重要な燃料だね。石と言っても植物の化石んだんだよ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

植物の化石?化石って恐竜とか動物の骨だけじゃないんだ!

石炭は植物の化石

数千年前以上昔の植物が湖や沼、浜で死んで積み重なったものが、微生物の分解作用で腐食(ふしょく:くさったりサビたりして形が崩れること)して泥炭(でいたん)となる。そこに地熱や地圧の影響を受けて、炭素が濃集して石炭が出来るんだよ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

植物の死骸なのか〜!熱と圧力で炭素(C)の密度が上がるから石炭なんだね!じゃあ炭素の塊だったら石炭を燃料にすると炭素(C)が燃えて(O2)、二酸化炭素(CO2)が出るんだね?

そういう事だね。最も炭素分が多くて発熱量も高い石炭である無煙炭は表面はキラキラしてて煙をほとんど出さずに燃えるんだよ。まさにマー君の言うような化学反応が起こるね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

そういえばバーベキューをする時に、初めは煙が出るけど、炭に火がつくとあまり煙が出なくなる!炭素以外の余計なものがあまりないからなんだね!日本の火力発電は石炭が多かったよね?石炭って石油より環境に良いの?

石炭は石油よりCO2を1.3倍多く排出する

決してそんな事はないんだよ。石炭は石油に比べると燃焼する時に約1.3倍も多くCO2を排出するんだ。さらにLNG(液化天然ガス)と比べると約2倍近くCO2を排出する。CO2排出による環境負荷は石炭が一番大きいね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

それなのにどうして石炭が一番発電に使われているの?

石炭の価格は比較的安定している

まずは燃料価格が安い事があげられるね。日本は石炭、石油、LNG(液化天然ガス)のほとんどを輸入に頼っている。そんな中で石炭は燃料価格が安定している。石油の輸入は中近東に頼っているから政情(せいじょう:政局の状態)不安によって価格が大きく変動するから、石油に頼り切ってしまうのはリスクがあるよね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

そういえばオイルショックってあったんだよね!石油の産油国に問題があったら、輸入に依存していると振り回されてしまうのは分かるね。

そうだね。リスクは分散しておかないと、いざという時に大きな問題になってしまうからね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

石炭の魅力は安さとリスク分散だね!あとは何かあるの?

石炭の埋蔵量はあと100年分以上もある

油田もたまに新しく見つかったりしているけど、あと50年くらいで枯渇すると言われている。LNG(液化天然ガス)も同じくらいだと言われているね。しかし、石炭は100年以上分の埋蔵量があると言われている。発電のエネルギーとなるものが枯渇していく中で、石炭が今後も必要とされ続ける要因の一つとされているね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

環境には悪いけど、石油やLNG(液化天然ガス)に比べると埋蔵量が倍以上あるのか〜。再生可能エネルギーが世界中に浸透するまでは使い続けるしかないもんね〜。

原子力発電の原料になるウランだって埋蔵量が無限にある訳ではないし、採掘時の放射能汚染が問題になっている。再生可能エネルギーが主流になるまでは、石炭はどうしても使い続けないといけないだろうね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

石炭発電の効率化とCO2が出ない取り組み

ニッポンの火力発電がスゴイ!石炭・LNG発電の最新技術

マー君
マー君

石炭には無煙炭とは違って、水分を多く含むものもあるんだね!水分が多いと発電効率が悪くなるから水分を抜く技術の開発と、CO2を回収する仕組みが作られてるのか〜。火力発電だからダメだって全ての火力発電を全部一緒に考えてたけど、石油や石炭、LNGの違いとか、CO2を出さない技術とか、日本は色んな研究を進めてるし、色々知らないとダメだなって思ったよ!

そうだね。再生可能エネルギーは当然進めていかないといけない分野だけど、今ある資源をどうやって効率よく使うか。そして、どうやったら環境負荷を抑えられるかという改善方法も同時に必要になるね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

昔は機関車があって、石炭を先頭の車両で燃やして走ってたんでしょ?僕は見た事ないけど、そんな時代から今ではリニアモーターカーがある時代になってるし、見た目だけじゃなくて性能もすごい進化してるよね。見えないところで効率が良くなって環境にも良い技術が増えてるみたいだし。そう考えたら、これからどんな技術が出来るのか楽しみだね!

蒸気機関車C57 投炭作業の練習 戦前の映像

地球温暖化対策や地球の環境に対する取り組みは、一つの国だけが努力しても解決にはなりません。石炭発電の効率化は日本の素晴らしい技術ですので、日本は石炭や原油やLNGを輸入していますが、その代わりにそういった技術をどんどん輸出出来るはずです。

蒸気機関車をもう見る事は出来ませんが、当時の技術や労働者の負担を考えると、現代のテクノロジーが如何に急成長を遂げているのかがよくわかります。

2019年11月22日に北海道苫小牧市沖の海底の地中に、地上の排出ガスから分離した二酸化炭素(CO2)を封じ込める技術(CCS)の実証試験で、30万トンのCO2の圧入に成功したと読売新聞が報じています。そういった技術自体はありましたが、国内での成功は初だそうです。

この実験が今後も問題なく成功し続ければ、火力発電時のCO2を回収して地中に封じ込めることで、地球温暖化対策に貢献できるでしょう。

西 友広
  • 西 友広
  • 趣味:映画鑑賞(ジャンル問わず)
       山登り