なぜ他人の悪口を言うのか?

悪口を言う人の周りには同じような人が集まり、その集団は強い絆を持ちます。それは小さい友達関係という枠を超えて、人種差別にも通じる事かもしれません。悪口とはどういう現象なのでしょうか。悪口という現象を考え、自己成長と自分を守る方法について一緒に考えてみよう。

マー君
マー君

ディアボロ先生!友達の悪口を言う人がいるんだけど、どうして悪口をわざわざ言うの?放っておいたら良い事でもわざわざ文句を言ったりするのって聞いてて良い気分じゃないんだよね。それに大勢で悪口を言って盛り上がったりすることがあるけど、ちょっと怖いと思ったりするんだよね。

マー君の言うように放っておけば良いことだね。わざわざ悪口を言う事は本来必要のないことだけど、悪口を言う人にとってはそれは必要なことだからしているんだよ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

悪口が必要?

自尊心(じそんしん)が低い人は悪口を言いやすい?

もし、相手が自分にとって何も害を与えない人だった場合、悪口を言う必要はないよね。例えば、アメリカのケンタッキー州の初代と第5代の知事を務めたアイザック・シェルビーさんのことを、ほとんどの日本人は悪口を言わないよね。知らないってのもあるだろうし、もう亡くなってるというのもあるけど、彼は僕たちにあまり関係がないし、影響がない。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

自分に関係のない人の悪口は言わないって事だね?

そうだね。悪口を言う相手は自分に害のある人、もしくは害があると思い込んでいる相手。悪口は相手を貶(けな)す行為。相手を貶(おとし)める行為だね。という事は悪口を言う対象よりも自分が劣っているとか認められていない思った時に、相手の悪いところを一生懸命見つけ出し、それを指摘する心の働きがあるという事だね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

貶す・・・ことさらに欠点を取り上げて悪く言うこと

貶する(へんする)・・・(上記意味と共に)身分や地位などを落とし下げる。

貶める・・・自分より劣ったものとみなす。軽蔑する。下落させる。

マー君
マー君

じゃあ悪口を言う人は自分に自信がないって事?

そうかもしれないね。大人の世界でも、周りより早く出世した人に対して、「彼は上司の機嫌を取るのが上手なだけで仕事ができない」みたいに、仕事が出来るかどうかは実際には分からない事を理由に貶(おとし)めることを言う人もいる。だけど、もし本当に自分に自信があって間違いなく自分の方が会社の役に立つと思っているなら、上司に「私に任せてください」とでも言えば良いんだけどね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

それを言わずに影で悪口を言っているのは、相手の良いところを見ないで悪いところを見つけ出して、自分より下に見たいだけなんだね〜。

他人が他人や自分をどう評価しているかなんて分からない。自分がもし劣っているならどこが劣っているかを聞けば良い。自分では上手く出来ているつもりだけど、上手く出来ていないところがあったりする。それを知る事で改善していって成長していけるはずだけど、悪口を言うことで一時的な心の安定を求めてしまうと、成長出来なくなってしまうね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

悪口を言わないようにすると苦しいのかな?

そうだね。だからこそ悪口を言うんだろうね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

認知的不協和(にんちてきふきょうわ)とは?

認知的不協和を低減する為に、相手の欠点を見つけ出し、妄想し、攻撃する事で不快を取り除くのが悪口と考えられる。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

認知的不協和とは

アメリカの心理学者のレオン・フェスティンガーが提唱した社会心理学の用語。人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態、またそのときに覚える不快感を表す。人はこれを解消するために、自身の態度や行動を変更すると考えられている。認知(cognition)をフェスティンガーは「環境に関する、自分自身に関する、自分の行動に関する、あらゆる知見、意見、または信念」と説明している。不協和は矛盾とも言い換えられるがフェスティンガーは論理的曖昧性を回避する為に不協和という言葉を採用したと言われている。

マー君
マー君

不快を取り除くのか〜。僕は悪口をあまり言わない方だと思うけど、その気持ちは分かる気がするよ。

それが大事だね。誰の心の中にも認めてもらいたい(承認欲求)とか、自分の方が優れているのにという気持ちはあるはずだよ。認知的不協和を低減させるヘビースモーカーの例えがあるんだけど、認知的不協和を理解するのにわかりやすいから一緒に考えてみよう。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

ヘビースモーカーと認知的不協和

ヘビースモーカーは毎日たくさんタバコを吸っているけど、タバコが体に悪い(肺癌のリスクが高い)という事は認識している。自分の行動と行動に関する認知の間に不協和(矛盾)があるという事だ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

ディアボロ先生のさっきまでの説明だったら、この不協和の状態が不快だって事だよね?

その通り。だからこのヘビースモーカーが取ると考えられる不快を低減させる試みは次の3つ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

1、禁煙する

2、タバコと肺癌の関係はなく、十分な科学的根拠はないと信じる

3、タバコは体に悪いかもしれないが、タバコを吸う事で軽減されるストレスの方が利点があると信じる

マー君
マー君

2と3は良く聞く言い訳だね。

そうだね。体に悪いけど自分の行動は変えられないと思っているから、行動じゃなくて認識を変える。言い訳とは「自分の言動を正当化するために事情を説明すること」だから、確かにこれらを人に説明した時点で言い訳と言える。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

これって悪口を言う心の働きと似ているね!

認知的不協和を低減させる為の「悪口」

そうだね。このヘビースモーカーの認知的不協和を低減させる為の試みの1は禁煙だったね。これは行動を変える訳だ。悪口を言わずに自分を高める行動を取るのか、それとも悪口の対象の認識を変えて悪口を言って認知的不協和を解消するのか。大きな違いだね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

僕としては自分の行動を変える方が良いと思うな!

それが一番難しいだろうね。だけど、それが結果的に自分の為になるだろうね。そもそも自分に自信がある人は人を妬む(ねたむ:他人の幸福や長所が羨ましくて憎らしく思う)ことをあまりしない。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

それは分かるよ!自信がある人って行動的だし陰口言わない印象があるもんね!

そうだね。いつも悪口を言うグループがあるとするよ。自分はこのグループのメンバー。もし自分が何かに頑張って成功したら、今度は自分がこのグループから悪口を言われる対象になってしまう。だから出る杭(くい)にならないように大人しくしておこうとする。それって人生つまんないよね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

そっか。悪口って一人で言うもんじゃないもんね。どうしても同じように悪口を言って、認知的不協和を解消しようとする人たちが集まっちゃんだね!じゃあそんなグループにいたら自分はいつまで経っても成長できない。自分が悪口を言うのをやめないと、行動を変えられないんだね?

そうだね。人は環境によって大きく変わるものだ。「朱に交われば赤くなる」という言葉の通りだ。人は変えられない。だけど自分は変えられる。自分が変われば自分が関わる環境は絶対に変わる。だから、もっと成長したい、色んな事にチャレンジしたいと思うなら、他人を妬んだり他人のせいにするのをやめて、悪口を辞めることからスタートすれば良いかもね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

朱に交われば赤くなる・・・関わる相手や環境によって、良くも悪くもなるというたとえ。

マー君
マー君

なるほど〜。じゃあ僕は悪口は言わないようにするよ!友達の成功を喜べるように自分に自信がつくように頑張る!

怒りはエネルギーになると言います。認知的不協和の解消は、自らを成長させる為のエネルギーになると共に、他人を傷つけるだけのものになるかもしれません。

もし、認知的不協和を低減させる為に自己成長という選択をしたとしても、自己成長には時間がかかるものです。その間に矛盾という不快感は大きなストレスとなって体や心を蝕(むしば)みます。

だからこそ私たちは定期的にストレスを解消する必要があります。ストレスを解消する方法は人それぞれですが、八つ当たりは非常に効果的です。

誰しもが八つ当たりをしてしまった経験があると思いますが、それは自己防衛反応で大切な行動なのです。しかし、闇雲に八つ当たりをすれば他人に迷惑をかけてしまうかもしれませんし、周りとの関係を崩してしまうことになりかねません。

そこでオススメなのは、サンドバックやクッション性のあるものを、遠慮なく殴るというストレス発散方法です。

私はこの方法を教えてもらってから定期的に車の中で助手席を思いっきり殴るようにしています。その際に、心の中にあるとんでもない汚い暴言を叫ぶこともセットに行います。

そうすると、胸の中にポカンと穴が空いたかのように、腑抜けになったような感覚になります。エネルギーが枯渇してやる気もストレスもなくなるような感じです。

もし、ストレスに押し潰されそうな時があれば、ぜひ暴力と暴言を一人でコッソリ吐き出してみてください。思いのほか効果があります。

理想を言えば全ての怒りのエネルギーを成長に向けられれば良いのですが、実際はそのようには行かないものです。理想と現実に折り合いをつけながら、自分のスタイルを見つけてみてください。

西 友広
  • 西 友広
  • 趣味:映画鑑賞(ジャンル問わず)
       山登り