砂糖ってどうやって作るの?
私たちが口にする多くの食品に砂糖が使われています。清涼飲料水のほとんどに砂糖が使用されています。そんな砂糖はいったいどうやって作られているのでしょうか?そもそもどんな植物からできていて、どのように加工され、私たちが目にするあの白い、もしくは茶色い形になるのかを一緒に見ていこう。
ディアボロ先生!この前に塩の作り方を教えてもらったけど、砂糖ってどうやって作るの?そもそも砂糖って何から出来てるの?
砂糖の原料は主に「さとうきび」と「甜菜(てんさい)」だよ。
さとうきびって沖縄でたくさん獲れる背の高い植物だよね!甜菜(てんさい)は全然知らないな〜!
さとうきびは自然災害に強い!
さとうきびは上の写真だね。マー君の言う通り、日本では沖縄県や鹿児島県の種子島などで栽培されている植物だね。暖かい気候を好む植物だから、海外だとブラジル、アメリカ、中国、タイやインドなどで栽培されているよ。
海外でも栽培されているんだ!沖縄だけだと思ってたよ。僕のイメージだけど、沖縄って台風が多いんだけど、サトウキビって台風でダメになったりしないの?
サトウキビは台風で倒れても立ち上がる強い植物なんだよ。干ばつ(かんばつ)で葉が枯れても雨が降ればまた新しい葉を出すんだ。
干ばつ(かんばつ)・・・長く雨が降らず、農作物に必要な水が乾き切ること。
すごいね!だから沖縄や鹿児島で栽培されているんだね!
良い着眼点だね。その通りで気候がさとうきびに適しているだけでなく、自然災害の多い地域を支える重要な作物という事だね。
じゃあ、甜菜(てんさい)はどんな植物なの?
甜菜(てんさい)は涼しい気候を好む
甜菜(てんさい)は砂糖大根とも呼ばれるように大根に似ているんだけど、ほうれん草の仲間なんだ。この白い根の部分に糖分が蓄えられていて、この部分を原料として砂糖を作るんだよ。ちなみに、さとうきびと違って涼しい気候を好むので、日本では北海道で栽培されているよ。
大根というよりカブに見える!涼しい気候ならロシアとかヨーロッパでも栽培されているの?
その通りだよ。甜菜の生産国第一位はロシア、そしてアメリカ、ドイツ、フランスと続いている。
甜菜ってはじめて聞いた作物だけど、砂糖の原料なんだね〜。ちなみに、サトウキビと甜菜だったら、どっちのほうが原料として多く使われているの?
世界的に見れば、さとうきびが約80%で甜菜が約20%だね。
へ〜!暖かい気候を好むさとうきびと、涼しい気候を好む甜菜、どっちもを日本で生産してるって面白いね!
さとうきびから砂糖が出来るまで
さとうきびから私たちが口にする砂糖が出来るまでは、長い工程を経ないといけない。
何度も汚れを落としていくんだね!糖液を真空の釜にいれて沸騰させてるけど、糖液って高温だと色がつくの?
温度によって色も味も変わる砂糖
そうだね。糖液を140℃を超えると黄色くなって、165℃でべっこう飴、165〜180℃でプリンの上にかかっているカラメルソースになるよ。
え!べっこう飴もカラメルソースも砂糖なの!?
砂糖は熱する温度によって色や味に違いが出るんだよ。ちなみに190℃でカラメルといって黒っぽいものになる。これはコーラの着色に使われているから色はイメージしやすいね。
え〜!コーラのあの色って砂糖を熱したカラメルの色だったの〜!?ところで原料糖を作る工場と精製糖を作る工場ってどうして別々なの?
収穫したらすぐに原料糖にしないと品質が低下する
重要な点だね。さとうきびを収穫してそのまま原料糖、精製糖を作れる工場に輸送すれば、加工が一度でできそうだけど、まず近くの原料糖を作る工場へ早く運ぶんだ。それは、収穫されたさとうきびを見たらわかる通り、切り口が大きく、細菌に感染しやすい状況になっている。
菌に感染して品質が低下するんだね!じゃあすぐに原料糖にするという対策が一番なんだね!
そうだね。動画を見てもわかる通り、さとうきびの収穫は機械で行うことが多い。その場合、トラッシュと呼ばれる必要な茎以外の根や土、枯葉などの不要なものも混ざって収穫してしまう。その中でも枯死した葉には乳酸菌が生息していて、それが品質低下の原因の一つとされている。
手作業より機械で収穫する方が品質低下が起こりやすいんだね!
その改善の為にもスピードが重要なんだ。トラッシュを含まない全茎原料は、刈り取り後24時間以内に圧搾(あっさく)、細断原料は刈り取り後6~14時間以内の圧搾が推奨されているよ。
圧搾(あっさく)・・・強く押し縮めること。また、押してしぼること。
そういう事だったんだね!
甜菜(てんさい)から砂糖が出来るまで
甜菜はさとうきびと違って使わない分は山のように積んで保存しておくんだね!甜菜はさとうきびと違って品質低下しないの?
甜菜は貯蔵期間中に糖分が減少することがある。これは積算温度(せきさんおんど)を小さくすることで抑えることが出来るようだ。だから、山のように積み上げる圃場堆積(ほじょうたいせき)はできる限り低温時に行うことが求められるね。
積算温度(せきさんおんど)・・・ある期間の日平均気温が基準温度を超えた分だけ取り出し合計したもの。
圃場(ほじょう)・・・はたけ。菜園。
温度が高くなると貯蔵期間中に糖分が減るんだね!どうして?
貯蔵されている甜菜の根は呼吸しているんだ。二酸化炭素の放出が多いと糖分が多く失われるんだけど、温度が上がると二酸化炭素の放出量が増える。呼吸が増加するということだね。
根っこも呼吸するんだね!そういえば食べようと思って買ったジャガイモから芽が出たことがあったな〜。植物って刈り取られても生きてるんだね!
そうだね。さとうきびも同じだけど、人間に与える為に糖分を蓄えている訳ではなく、自分自身を成長させる、生きる為に蓄えている。生きる限り消費されていくものだね。
それを人間が糖分だけ取り出す技術を開発して、僕らの食卓とかお菓子とかいろんな食べ物の中に入ることになったのか!面白いね!
狩猟民族だった人間が農耕を覚え、様々な加工技術を編み出した。砂糖もその中の一つです。個人的に思うことですが、私たちの脳は狩猟民族頃から考えるとかなり進化したのではないかと思います。しかし、私たちの消化器官はおそらくあの頃と比べても大した進化はしていない。もしくは何も変わっていないのではないかと推測します。
私たちは草食動物に比べ、植物からタンパク質を得る能力が低い。これは、元々肉食だったことを意味していると思います。そのような事を考えていると、加工食品は私たちの身体にとってどういう影響を与えるものなのだろうと考えずにはいられなくなります。
これも想像でしかありませんが、おそらく私たちは加工食品を食べなければ、いわゆる生活習慣病のは罹らないのではないかと想像します。もちろん運動の重要性は無視できませんが。
20年近く前に、清涼飲料水を飲んで何秒後に血管の中にその糖質が流れ込むのかという実験を見たことがあります。当時、10分後くらいかなと想像していたところ、なんと1分以内という結果が出ました。それには驚いたのを覚えています。
固形物であれば消化し吸収するのに時間を有しますが、液体ともなれば吸収はあっという間だったのです。この結果を見た時に、「ジュースばっか飲んでりゃ、そりゃ糖尿病にもなるわな。」と納得しました。
加工食品は美味しく保存期間も長いので、今後食糧危機から私たちを救ってくれる救世主となり得ます。加工食品は悪ではありません。しかし、私たちは加工食品との付き合い方を間違えれば、大病を患う可能性もあるのです。
何事もほどほどに良い加減というのはとても大事だと痛感させられます。という事で、私は大好きなチョコを食べる手を止められないまま記事を締めくらせていただきます。