HIVとエイズは何が違うの?

世界で初めてエイズ患者が確認されたのは1981年。2018年では世界で3,790 万人がHIVに感染していると言われている。HIVとエイズの違いから、何故男性同性愛者同士の感染リスクが高いのか。風邪やインフルエンザとの決定的な違いなども見ていこう。

マー君
マー君

ディアボロ先生!ニュースでいきなりエイズっていう見出しを見たんだけど、いきなりってどういう意味?HIVとエイズって何が違うの?

HIVというのはね、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)の事なんだ。そして、エイズというのはHIVに感染した結果起こる病気の症状をAIDS:Acquired Immuno-DeficiencySyndrome(後天性免疫不全症候群)と言っているんだ。ちなみに余談だけど、ウイルスっていう発音は英語圏の人には通じないけど、「ヴァイルス」か「ヴァイラス」で通じるよ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

HIVに感染してAIDSになるか〜。ウイルスに感染した結果、病気になるって事だね!

その通り。HIVに感染していても、症状がない状態があるんだ。HIVに感染すると、①感染初期(急性期:発熱を起こすが数週間で治ることが多くエイズだと自覚しにくい)、②無症候期、③エイズ発症期という経過を辿る。②の無症候期は特に症状がない状態だけど、それが10年以上続く人もいれば、短期間でエイズを発症する人もいる。HIV感染が発覚した時点でエイズを発症しているのを「いきなりエイズ」という言い方をしているんだろうね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

なるほどね。ちなみにいきなりエイズを発症する人の割合ってどれくらいなの?

30%前後と言われているけど、早期発見早期治療で感染していない人と同じくらい生きられるというデータもあるから、エイズ発症前の発見が望まれるね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

HIVに感染っていうけど、インフルエンザとか風邪とかと何が違うの?

HIVは免疫細胞に感染するウイルス

そもそも人間の体には白血球という免疫細胞があるんだ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

知ってる!キラーT細胞とかでしょ?

そうだね。キラーT細胞はリンパ球のT細胞に属しているね。他にもたくさんの細胞があるんだけど、それらがインフルエンザや風邪にかかった時に戦ってくれる免疫達なんだ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

免疫(めんえき):実体的な言葉で、感染、病気、あるいは望まれない侵入生物を回避するために十分な生物的防御力を持っている状態を指す。(医学的な意味)

免疫細胞にはそれぞれの役割があるんだけど、病原体を食べてくれる者、抗体(こうたい:ウイルスや細菌が体の中に入った時に、体の外へ追い出す為に作られる対抗物質)を作る者、感染した細胞を攻撃する者達がいる。HIVが風邪やインフルエンザと違うところは、この人の免疫細胞自体に感染してしまうところ。だからヒト免疫不全ウイルスと呼ばれている訳だね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

免疫細胞が感染しちゃってやられちゃったら、免疫力が弱くなるから病気になりやすくなるってことなの?

その通りだね。その免疫力が落ちて発症した状態をエイズという訳だ。ちなみにエイズと診断されるのは厚生労働省がエイズ診断基準として23の疾患を指定していて、その中のどれか1つでも発病した時点でエイズ期となる。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

参考:北海道大学病院HIV診療支援センターHIV相談室HP ← 23の疾患リストが見れます

HIVはどのように感染する?

マー君
マー君

どうやったら感染するの?空気感染はしないの?

空気感染はしないようだね。HIVに感染すると、血液、精液、膣分泌液、母乳などに多く分泌されるから感染経路のほとんどは「性的感染」、「血液感染」、「母子感染」で、最も多いのは「性的感染」みたいだね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

へ〜。じゃあ空気感染はしないとして、くしゃみで飛んでくる唾液とかで感染はしないの?

唾液、涙、尿などの体液には他のヒトに感染させるだけのウイルス量は分泌されないから、まず感染することはないよ。他にもHIVに感染した人を刺した蚊が他の人を刺しても移ることはない。同じ食器を使っても大丈夫。あまりにも微量なウイルスなら感染はしないという事だね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

安心したよ。もっと簡単に感染する病気だと思ってた。

多くの人がそういう認識を持っているかもしれないね。正しく理解することは大事だね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

HIV感染で最も多いのは性的感染で、その中でも男性同士の性的感染が非常にリスクが高いと言われています。その原因は、腸管粘膜から精液中のHIVが侵入してしまうからです。膣や口腔の粘膜は刺激に耐えられるように重層となっていますが、腸管粘膜は単層であり傷つきやすいため、HIVが侵入しやすく、膣性交よりも感染リスクが高くなります。一度の性交による感染のリスクは1%にも満たないですが、一度感染すればHIVを体内から完全に除去する治療法はない為、一生薬を飲み続けなければなりません。

現在では、薬の継続的な服用で感染していない場合と同じくらいの寿命が期待できますので、早期発見早期治療が望まれます。気になる方はほとんどの保健所で検査は無料で受けられますので、連絡してみてください。無料かつ匿名で受けられます。

HIV感染から2週間以上経過後、発熱、リンパ節腫脹、咽頭炎、皮疹、筋肉痛、頭痛、下痢等などの症状が起こることがあります。しかし、これらはHIV感染に関わらず起こる症状でもあり、自己判断は非常に難しいです。検査を受けること自体は難しいことではないので、心配な方はぜひ検査を受けてみましょう。

西 友広
  • 西 友広
  • 趣味:映画鑑賞(ジャンル問わず)
       山登り