ハチミツは腐らない？

ハチミツの中にはすぐに白い塊が出来てしまうものがあるね。あれはハチミツの中に含まれているブドウ糖が結晶になったものなんだ。だから別に食べても何も問題ないよ。

ハチミツは花の種類だけあると言っても良いんだけど、花の種類によってはブドウ糖が多いものと、果糖（かとう）が多いものがあるんだ。例えば、アカシアの花の蜜から出来たハチミツは、果糖が多くて、果糖は結晶になりにくいから白い塊は出来にくいと言われているよ。

まず白い塊はブドウ糖が結晶化したものだけど、花粉がハチミツの中に入っているとその花粉にブドウ糖がくっついて、どんどん結晶化していく。理科の実験でやったのを思い出してみて欲しいんだけど、砂糖を水の中にたくさん溶かそうと思うとどうやったら良かったかな？

その通り。砂糖の溶解度は温度が上がると大きくなるよね。だから45℃くらいのお湯につけてあげればハチミツの中のブドウ糖の塊は溶けて消えていくよ。ただし、白い塊が出来たということは、また同じように保存していれば白い塊が出来るよ。

それにハチミツは常温で保存しても腐らないからちゃんと保存していればいつまでも食べられるよ。

マー君の言うハチミツの甘さが腐らない理由なんだよ。

ハチミツの糖度（とうど）は80%くらいもあってかなり高いんだ。そのおかげで水分が14〜18%くらいしかない。腐ってしまうには細菌が増殖しないといけないんだけど、水分があまりにも少ないから浸透圧の影響でハチミツが細菌の水分を奪ってしまう。だからハチミツの中は細菌が生きていけない環境なんだ。

そうだね。常温でも冷蔵庫に入れても、どちらにしても腐らないね。でも、冷蔵庫に入れてしまうとさっきの溶解度の問題で、すぐに白い塊ができてしまうよ。

あと、さっき細菌が生きていけないと言ったんだけど、ボツリヌス菌という菌は乾燥に強くて、ハチミツの中でも生きられるんだ。ボツリヌス菌は１歳以上であれば腸内細菌が安定しているので、ボツリヌス菌は腸内で死んでしまうけど、１歳未満の赤ちゃんの場合、腸内細菌が整っていないので、腸内でボツリヌス菌が増えて、毒素を出すことによって、乳児ボツリヌス症を発症してしまうリスクがあるんだ。

それが、ボツリヌス菌は100℃で加熱しても生きているんだ。120℃で4分以上加熱すれば死ぬと言われているけど、家庭で調理する分にはまず死なないと思っておいて、１歳未満の赤ちゃんには絶対食べさせないようにしないといけないね。