日本の人口は今度どうなるのか?
日本はすでに少子高齢社会で、さらに超少子高齢化している国です。人口が徐々に減少するなら大きな問題はないかもしれませんが、人口減少の勢いが止まらない日本には、年金など社会保障が問題になります。今回はなぜ人口が減少しているのか。数字を見ながら現状と今後を一緒に理解していこう。
日本の人口って今何人?
ディアボロ先生!日本の人口って今何人くらいなの?
日本の2019年時点での人口は1億2,618万人だね。
こんな小さな国で1億2,618万人ってすごい多いね!人口密度で言ったら世界一?
日本は人口密度でいうとだいたい世界20位くらいだね。日本より人口の多い国はたくさんあるし、もっと小さい国もあるからね。シンガポールとは人口が560万人程度しかいないけど、とにかく国土が小さい。世界で一番人口密度が高い国はシンガポールだね。日本よりも上位の国は韓国やインドやオランダ、フィリピンなんかだね。
そうなんだ!日本って小さい国だと思ってたけど、もっと小さい国もたくさんあるんだね!日本は少子高齢化って言われてて、高齢者の人たちが多くなってくるんでしょ?これからどんどん人口も増えていくの?
出生率が上がらない日本
寿命が年々上がってきているから、確かに人口が増えそうだけど、実際は子どもの数が増えないから、これからどんどん日本の人口は減っていくと言われているんだ。1920年から現在、そして未来予測の2065年までの年齢別人口推移を、下の動画で確認しよう。
日本の年次・性・年齢別人口ピラミッド
今までずっと人口が増えてきてたのに、これからどんどん人口が減っていくんだね!
そうだね。出産適齢期の女性の人数が減ってきているから、出生数(しゅっせいすう:子どもが生まれる数)は自ずと減ってしまうね。ただ、それだけではなくて、合計特殊出生率が2018年は1.42と、ここ数年低水準なんだ。
合計特殊出生率?
合計特殊出生率とは、15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したものだよ。一人の女性が一生の間に生むとしたときの子どもの数を数値化するのが目的なんだ。だけど実際に現時点で、ある20歳の人に1人子どもがいたとしても、その後に何人も子どもができるかもしれない。そうなると、その世代の一人あたり子どもの数を正確に出す為には50歳になるまで、待たないといけない。だからそれに相当する人数を割り出す為に、年齢別出生率を合計したものを採用しているんだよ。
ふ〜ん。2018年のこの全世代の出生率が1.42ってことは、一人当たり一人か二人くらい子どもを産んでいるってことなんだね?
そういう事だね。もし人口を維持しようとすれば、出生率が2.07%必要なんだ。日本は1970年から一度も出生率が2.0を上回った事がない。人口が下がり続けるのは随分前から予想されていたことなんだ。
出産適齢期の女性の人数と、出生率が予測できれば、どれだけ子どもが増えて、どの年にどれくらいの人口になるかが予想できるんだね!面白い!
そうだね。人口の変化は比較的予想しやすいと言われているね。ただし、2019年の出生数が90万人を下回る事が確実な中、厚生労働省の研究機関は推計(すいけい:一部の事実や資料をもとにして、おおよその数量を算出すること)より出生数の落ち込みが2年早いとコメントしている。
じゃあ予想よりも出生率が低かったって事だね?どうして出生率が上がらないの?
そのようだね。出生率が上がらない原因は様々あるだろうけど、まず経済的な問題、そして待機児童の問題、さらに婚外子(こんがいし:婚姻届を出していない男女間に生まれた子)の少なさが指摘されている。
お金がなかったら子どもを育てられないもんね。
待機児童は減少しているものの
まず子どもを育てるのに日本はとにかくお金がかかる。それだけじゃなくて、保育園に入れない待機児童は2019年時点で16,772人いる。昨年から減少傾向だけど、それでもこれだけ多くの子どもたちが、保育園に入れずにいる。
出生数が少なくなっているのに、こんなに保育園に入れないの?じゃあ共働きは出来ないね。
経済的に厳しいから共働きをしているのに、子どもを産んだら保育園に入れないという問題があって、職場に復帰出来ないとなったら子育ては厳しい。それに会社が子どもを産んで産休に入ったり育休にはいったりすることを露骨(ころつ:あからさま)に嫌がるケースも多い。そんな中で子どもをたくさん欲しいと思って産める人は限られているかもしれないね。
女性の社会進出とか一億総活躍とか言ってたけど、実際は働きたくても働けなかったり、子どもを産む事を理解してもらえなかったりするんだね。
婚外子は受け入れられるべき?
日本では婚外子が非常に少ない国だね。EU諸国やアメリカと比べると全くないと言って良いくらい婚外子が少ない。そもそも「できちゃった婚」という言葉があるくらい、結婚前に子どもができる事に悪く言えば「失敗」という雰囲気がある。近年は「授かり婚」という言葉にしようとしているけど、そもそもそんな言葉も必要ない。婚外子ができる事が悪いような風潮があるのも問題。
結婚してから子どもが出来るものだと思ってた・・・。日本以外を知らないと当たり前を勘違いしてしまうね!でも、婚外子が増えないと出生数が増えないの?
平均初婚年齢は2016(平成 28)年で、夫が 31.1 歳、妻が 29.4 歳となっている。これは年々晩婚化(ばんこんか:初婚年齢が上昇すること)していて、出生時の母親の平均年齢を出生順位別にみると、2016年は、第1子が 30.7歳、第2子が32.6歳、第3子が33.6歳と、こちらも上昇傾向が続いている。ということは結婚が遅れるほど、子どもを作ることもどんどん遅くなって、結果的に出生数は減少する。
ということは早く結婚できるようにするか、結婚してなくても子どもができて、育てられる社会にしないといけないって事だね?
そうだね。もちろん経済的に余裕ができれば結婚も早くなるかもしれないけどね。ただ、婚外子であっても祝福されたり、子どもを育てやすい国であればもっと子どもが増えるだろうね。
そうだね!最近は結婚しない人も多いみたいだし、結婚っていう形じゃなくても子どもを育てられたら良いね!
希望する子どもの人数は出生率よりも多い
2015年の国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、未婚の男女の平均希望子ども数は男性で1.91、女性で2.02だった。
そうなんだ!じゃあみんな本当はもっと子どもが欲しいんだね!だけど色々考えて諦めているんだね!
今じゃないとためらっているのかもしれないね。環境さえ整えば、それくらいは出生率があがる見込みがあるって事だね。
年金の問題とかもあるみたいだし、せめて人口が少なくならない出生率2.07くらいまで増えて欲しいね!