なぜ努力を継続できないのか?

誰しもが一度は大きな目標を立てて努力した経験があるのではないでしょうか?しかし、ほとんどの場合、その努力は三日程度しか持たず諦めてしまう事が多い。また、数ヶ月も努力を続けてきたにも関わらず、途中で諦めてしまう事もある。努力を継続できない理由はいくつかありそうだ。その理由を心理学的側面から一緒に見ていこう。

マー君
マー君

ディアボロ先生!毎朝早く起きてジョギングしようと思って頑張ったんだけど、三日でやめちゃった!四日目の朝起きたら、なんかしんどくて、三日連続頑張ったから明日やろうと思って二度寝したんだけど、五日目なんか朝起きるのも忘れちゃってた!今日は六日目だったんだけど、さっきそういえば走ってないなって気付いたんだ。僕って努力できないダメな子なんだ!こんなんじゃノーベル賞獲れないよ〜!

諦める原因その①〜動機(どうき)〜

ダメな子だと考える前に、どうしてジョギングしようと思ったの?

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

クラスのみんなに、「マー君太ったね!」って言われたんだ!僕熊だしこんなもんだって思ってたんだけど、みんなに言われてショックだったんだ!だからダイエットで走ろうと思ってさ!

じゃあマー君がジョギングを始めた動機はみんなに太ったと言われてショックだったということだね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

動機?

動機とは、人が決意したり行動を起こしたりする直接の原因のことだよ。じゃあマー君はやせてみんなに太ったって言われないようにしたかったんだね。でも、マー君自身は熊だからこんなもんだって思ってるんでしょ?

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

そうだよ!ママもパパも僕より大きいし。それに僕毛皮がないと結構スリムなんだよ!みんな知らないだけなんだ!くやし〜!

そうだね。熊はもともと大きいからね。という事はマー君の動機は弱いって事が分かったね。自分の中に今の自分で納得している部分が大きいようだし、変わる必要性をそこまで感じていないようだね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

言われてみればそうかもしれないな〜。でもさ、ちょっくはやせてみんなに変わったって褒めて欲しかったんだよね〜。だから、どれくらい走ったらやせられるのか分からなかったんだけど、とにかくたくさん走ったんだ。いっぱい汗かいたんだけど、三日じゃやせないものだね!

諦める原因その②〜期待〜

という事は、マー君はジョギングでやせるっていう効果を期待出来なかったという事だね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

はじめは期待してたんだよ!「こんなに汗かいたんだからやせてるはず!」って思ったのに三日目でも体重が全く変わらなかったんだ!逆に驚いちゃったよ!

脂肪1kg落とすのに7,200kcalもエネルギーを燃焼させないといけないから、マー君の体重が75kgだとして、フルマラソン(42.195km)を二回走ればだいたい7,200kcalくらい消費したことになる。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

僕の体って1kg脂肪落とすのにフルマラソンを2回も走らないといけないの!じゃあ僕より体重軽い人はもっと走らないといけないの?

もちろんそうだよ。質量が大きいものを地球の重力下で移動させる訳だから、軽い方がエネルギーは少なくて済むからね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

そっか。甘くみてたよ。じゃあ僕が三日間走ったくらいでやせないのは当然だったんだね?

その通り。もしやせようと思うなら、運動だけじゃなくて食事制限が必要だろうね。三日間頑張ったのにやせないジョギングに、マー君は期待出来なくなっていた。そして、マー君が目標を達成して得られるのは「みんなから褒められる」ことだね。これは誘因と言うよ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

諦める原因その③〜誘因(ゆういん)〜

マー君
マー君

誘因?誘惑の「誘」に原因の「因」だから、僕が目標達成する為にジョギングをするのは誘惑されてるって事?

だいたいそういう意味だけど、誘因とは「ある作用をひき起こす原因。ある物事が成立する原因。」という意味だよ。「みんなに褒められたい」という気持ちが行動を引き起こしたということだね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

確かに、僕はみんなに太ったって言われたから、見返してやりたいって思って、やせたらみんなに褒められるんじゃないかなって思ったんだ!だからジョギングしてやせようと思ったんだよね!

これはしっかりとした理由があったようだね。ここで、振り返ってみると、マー君の「動機はそんなに強くない」し、「ジョギングに期待出来なくなった」。だけど、「みんなに褒められたいという誘因はある」という状態だね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

そう言われれる、続かなくて当然な気がしてきたよ・・・。

落ち込む必要はないよ。マー君は努力が続かないダメな子ではなくて、努力する必要のないものを辞めただけなんだから。それにダメな子なんていないよ。それは見方次第なんだから。そして、最後に質問だけど、もしジョギングでやせた時に、何か失うものがあったんじゃないかな?

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

失うもの?お肉以外に?

お肉もそうだけど、例えば、熊らしく大きく強い体じゃなくなってしまうとか。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

諦める原因その④〜成功回避動機〜

マー君
マー君

ん〜。ママに「子どもがダイエットなんてしたら身長が伸びないよ」って言われてたな〜。だから、ちょっとやせる事が嫌になったかも。それに「栄養が足りてないと頭が回らなくなるよ」とも言われたな〜。僕ノーベル賞獲るのにそれは嫌だなって思った。それに、僕の大好きなハムスターのハムス子ちゃんが、「マー君の強そうな大きい体が好き」って前に言ってくれたんだ。

ハムス子ちゃん・・・。たくさん出たけど、成功した後に失うものがあると、無意識に失敗を選択しやすくなる。この場合、ダイエットに失敗だね。ジョギングはやせる効果がそんなに大きい訳ではないけど、続ければ必ず成功に近づく。だからこそ、失敗するには継続を断念するという方法を取るんだ。人によっては過食につながるかもしれないけど、努力をしなくなるのは消極的選択で、精神的にも肉体的にも楽な選択肢。だから、ダイエットの失敗で起こるのは、ほとんどの場合努力の中止だね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

そっか。よく考えてみたら、僕ってやせたくないのかも!みんなに太ったって言われたときはムカっとして、「やせてやる!」って思ったんだけど、冷静に考えてみたら、そんなにやせたい理由がなかったよ。それにやせて失うものがあるって考えてもなかったな〜。

これを成功回避動機(せいこうかいひどうき)と言うよ。成功すると失うものがあるだけじゃなくて、攻撃される事だってある。例えば、社会的に成功を収めようと必死に頑張ると、結果的に有名人になる政治家、芸能人、フリージャーナリストなどの職業の人は、成功すると地位や名声やお金を手に入れられるかもしれないけど、世間からバッシングされる可能性がある。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

確かに、有名人になると色んな噂を作られたり、不倫をスクープされたりするもんね!

そうだね。それに一言一言あげ足を取られたり、有名になればなるほど批判は避けられないようになる。そうなると、成功したいという気持ちと反対の気持ちが現れるようになる。それでも成功したいという気持ちが勝つ人にしか、成功は得られない。これは決して言い過ぎではなくて、この場合、成功の邪魔をしているのは自分自身の中にあるものだからだ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

確かにそうだね!誰かに邪魔される訳じゃなくて、自分自身で勝手に不安になって、努力するのをやめてしまうんだもんね!

その通り。不安というのは未来に悪い事が起こるかもしれないと言う妄想に過ぎない。この妄想によって成功するための行動を辞めてしまう。成功回避が起こるんだ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

自分自身の心の声って、落ち着いて自分を見つめないと聞こえないものだね。ディアボロ先生に言われて「そういえば!」って思ったけど、よく考えてみたら、成功しない方が良いんじゃないかなって本当は結構強く思ってたんだって気づいたよ!

そうなんだね。みんな常に自分との対話をしているんだ。こうしている間にも常に頭の中で自分と対話してるでしょ。その声を無視しないようにすると、本当は何をしたいのかが分かるようになるかもしれないね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

成功達成の動機>成功回避の動機

マー君
マー君

成功しようと思ったら、本当に自分が成功したいと思うものじゃないといけないんだね!

その通り。そもそも努力するに値するのかが重要だね。ダイエットを何回も失敗している人がいるとすれば、その人は本当にダイエットが成功したいのかをもう一度考える必要がありそうだね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

失敗した方が良い理由がたくさんあったら、成功しようと努力するのが難しくなるもんね!

ここれは触れませんでしたが、親和動機というものもあります。多くの方が、親和動機とは、「他者暖かく親密で、打ち解けて話し合える関係を、意識的もしくは無意識的に希求する傾向のこと」を言います。

どのような成功においても、親しい仲である人から妬(ねた)まれ、嫌われる可能性を孕(はら)んでいます。それを親しい仲と言うかどうかは別として、成功には妬みはつきものです。

成功を望み行動しているが、親和動機が強い場合、この親和動機が失敗回避の動機になってしまう場合があります。

さらに、夫婦間において、夫または妻のどちらかが、社会的に成功を収め、地位や名誉を手にする場合、そうでない側は相手が自分から遠い存在になるという孤独感を感じる場合があります。それに気付かなければ失敗回避は起こりませんが、何らかのきっかけで気づいた場合、失敗回避の一つの要因になる可能性があります。

このように、単に成功行動の対極をなす成功阻害要因は、あまりにも多いことに気がつくと思います。もし、このような事を知らずに何度も失敗を繰り返しているとすれば、それはあまりにも無駄な努力であり、時間の無駄と言わざるを得ません。

しかし、そういった失敗の経験が次に活かせるのも事実です。ぜひ、失敗した原因を見直すきっかけにしていただければと思います。

西 友広
  • 西 友広
  • 趣味:映画鑑賞(ジャンル問わず)
       山登り