狂犬病はどんな病気？

狂犬病に感染するとほぼ１００%死んでしまうんだ。

潜伏期間が数日から数ヶ月もあったりするんだけど、初期症状は風邪やインフルエンザの症状と似ているから、見分けがつかないね。発熱、悪寒、筋肉痛、頭痛だよ。ただ、その後で興奮、意識障害、錯乱、幻覚、恐水症（きょうすいしょう）、の症状がでる。

恐水症とは、水を恐がる症状なんだけど、水を飲み込めなかったり手を洗えなかったりするんだ。だから、狂犬病を「恐水病（hydrophobia）」とも呼ばれたりするんだよ。

恐風症（きょうふうしょう）という症状もあって、少しの風を感じるだけで恐怖するという症状も出る。とにかく、普通では考えられないような症状が出た後で、全神経痙攣（けいれん）、不整脈、麻痺（まひ）、全身の臓器に障害が起こって死に至るんだ。

日本も1950年以前は多くの犬が狂犬病にかかったんだよ。そして人間も狂犬病にかかっていたんだ。だけど、狂犬病予防法が施行されて、犬の登録、予防注射、野犬などの抑留が徹底されるようになって、わずか7年という短期間のうちに狂犬病を撲滅出来たんだ。

生後91日を過ぎた犬には、狂犬病ワクチンを年に1回接種することが義務になっているんだ。こうした徹底のおかげで幸いにも1957年以降、日本では狂犬病は発生していないよ。ただし、渡航して海外で感染したケースはある。

上の図を見ると分かるように、青色で示されている国以外では狂犬病の症例があるんだ。

そうだね。曝露（ばくろ：直接風雨にさらされること。また、有害物質や病原菌にさらされること。）後の狂犬病ワクチンも可能なんだけど、咬まれたりすることによって感染する危険性が高く、長期滞在、秘境などへの渡航ですぐに医療機関にかかることができない人は、予防のワクチン摂取は必要だろうね。

狂犬病という名前だけど、人間もかかる病気だよね。それと同じように犬以外の動物もかかる病気なんだよ。だから、犬にだけ注意していてもダメなんだよ。

そうだね。コウモリが狂犬病を媒介（ばいかい：橋渡し。病原菌をうつすこと）することが多いね。だから、犬に噛まれるだけじゃなくて、このような動物達に噛まれたり引っ掻（か）かれたりしたら、注意した方が良いよ。

そうだね。世界では年間約５万人が狂犬病で亡くなっているとWHOが発表しているけど、日本人はあまり馴染みがないから知っている人も少ないだろうね。

君の仲間に襲われたら病気になる前に殺されるよね。

まずは、すぐに傷口を石鹸を使って、大量の水でしっかり洗うこと。曝露後のワクチンもあるけど、まずはウイルスを体の中に入れないのが何より大切だからね。そして、お医者さんに診てもらうことだね。日本ではほとんどの飼い犬が予防接種を受けているから問題ないだろうけど、海外で野生の動物に噛まれたら必ず病院に行こう。

こういったニュースを見ても分かるように、半年以上も前に犬に噛まれて、忘れた頃に症状が出るというケースがある。そうなると初めに説明したように助かる見込みがほとんどない。だから、みんなも動物に噛まれたり引っ掻かれたりしたら、まず狂犬病を思い出して欲しい。