おむつの使用量ってどれくらい?

おむつは子どもだけでなく、体が不自由な高齢者を中心とした要介護者も利用しています。そんなおむつはいったいどれくらい使用されているのでしょうか?おむつの年間使用量、原材料、そして環境保護の観点から改良されているおむつの実態を一緒に見ていこう。

ディアボロ先生!人間の赤ちゃんっておむつしてるけど、1日に何回くらい交換してるの?
赤ちゃんの成長によっておむつの交換回数は減ってくるんだよ。新生児では1日に10回〜13回くらいと言われていて、生後3ヶ月で8〜10回、生後半年で8回程度と言われているね。だいたい3歳くらいからおむつを外すようになるから、それまでの期間は毎日おむつを使うことになるね。



1日にそんなにオムツを交換しないといけないなんて大変だね!どうして、赤ちゃんの成長によっておむつの交換回数が減ってくるの?
赤ちゃんの成長と共に、膀胱(ぼうこう)に溜められるおしっこの量が増えるから、おしっこをする回数が少なるからだね。


そうなんだ!大人のおしっこの回数は8回くらい?
大人は正常だと1日5回程度だと言われているね。8回だと回数が多くて頻尿(ひんにょう)と言われるね。大人は1ℓくらいまでおしっこを膀胱に溜められるけど、だいたい200~250mℓくらいで尿意を感じはじめるようだね。これを初発尿意と言うよ。

子ども用おむつの年間消費量

1日に8回くらいおむつを交換してたら、日本での年間のおむつの使用量ってすごい量になりそうだね!
2020年のデータだと、おむつを使用する3歳くらいまでの子どもの数は、おおよそ341万人いるみたいだね。そして、使用量はおおよそ18.7万トンと計算されているよ。


18.7万トン!
トンと言われると僕、想像できないからキロに直すと・・・
1億8700キロ!
どっちにしても想像できない量だ!
おすもうさん約114万人分くらいだよ(2018年初場所時点での幕内力士の平均体重164kgで計算)。


それも想像しにくい!
おむつの材料

紙おむつって紙って言うだけあって、木材から出来ているの?
そうだね。木材や古紙から出来るパルプというものが5割、プラスチック3割、高吸収性ポリマー(SAP)2割というくらいの割合で出来ているよ。


高吸収性ポリマー?
高吸収性樹脂とも言うけど、おむつは水分をすごく吸収するよね?あれは高吸収性ポリマーが使用されているからだよ。

脱脂綿やティシュ、パルプ等の吸水量が、自重(それ自体の重さ)の10~20倍程度あるんだ。それに対して高分子吸水材の場合は、自重の200~1000倍も吸収することが出来る。尿の場合は30〜70倍程度の吸収が可能だよ。


すごいね!紙おむつって木材だけで出来てると思ったから、環境に良くないかなって思ったんだ。
おむつの改良が環境保護につながる?
この高吸収性ポリマーのおかげで、おむつの交換回数が減ったし、木材の消費量も減ったね。ただし、この高吸収性ポリマー自体が石油由来のプロピレンから作られている。高吸収性ポリマーの世界での年間生産量は250万トンとなっていて、環境保護の観点から、植物由来の原料への転換が求められているね。


木材の利用が少なくなって、今度は石油の利用も減らそうとしているのか〜!環境の為にすごい努力が続けられているんだね!
それだけでなく、ユニ・チャームが2015年に使用済み紙パンツからパルプを取り出しオゾンで滅菌する独自の技術を開発したんだ。これは厚生労働省の基準もクリアしている。再生品は新品と比べても見分けがつかないレベルなんだ。


自然のものの使用量を減らすだけじゃなくて、再利用するなんて!汚れたものを再利用できるようにするなんて、すごい発想だね!
大人用おむつの使用量が増える
おむつを使うのは赤ちゃんだけでなく、高齢者を中心とした体の不自由な要介護者も使っているんだよ。


そうだったね!確かにテレビのCMでも見たことがあるよ!今、日本は超高齢社会に向かってるって前に教えてもらったけど、今(2020年)は子どものおむつ使用量と比べて大人用の使用量はどれくらいなの?
2020年現在でおむつを使用する大人の人口は377万人程度で、年間使用量は40万トン程度と推測されているよ。人口的には子どもとさほど変わりないものの、使用するおむつの大きさ、重量の違いから使用量は約2倍の重量となっているね。


そうだよね。それにこれから子どもは少なくなるけど、高齢者は増えるんだよね?
その通り。おむつを使用する大人の人口は10年後の2030年には約100万人増加し、使用量も5万トン弱増加すると言われている。


じゃあ、ますますおむつの改良に期待が集まってきそうだね!
水平リサイクルをおむつで
今回のユニ・チャームのおむつのパルプ再利用を水平リサイクルと言うんだ。


水平?
リサイクルするときに、一段質を落として商品を作り変えたりするとリサイクルが一回で終わってしまったりする。それとは違い、質を落とさずに元のものを作ると、資源の長期的循環が期待でき、環境負荷を軽減できる。ただし技術開発コストがかかってしまう。それでも、社会的に環境保護の重要性が高まっているので、企業もその声に応えようとしているんだね。


消費者が積極的に再生品を買うようになっていけば、もっと企業も再生品を作るようになるだろうね!企業が環境保護に取り組むのも消費者の意識次第ってことだね!