火って何?
焚き火やロウソクなどで見る火。ガスコンロがある家ではほとんど毎日火を見るだろう。この火は一体何なんだろう。火は物質?火を起こす条件は?火も温度が色々ある?太陽は実は燃えていない?などを調べてみよう。
赤色の炎と青色の炎の違い
ディアボロ先生!学校でガスバーナーを使ったんだけど、どうして火には青とか赤とか色に違いがあるの?
ガスバーナーで空気を取り入れる量を調節すると炎が青くなったり赤くなったりするね。青い炎はガスと酸素が反応している時の色で、赤い炎は酸素と反応する前にガスから遊離(ゆうり:他のものと離れて存在すること)した炭素が輝いている色だよ。
赤色は炭素が輝く色だったんだ!じゃあガスバーナーで空気を取り入れる量が少なくなると赤い光がでるのは、酸素の量が足りていないってこと?
そういうことだね。化学式で書くと下記のようになるよ。
天然ガスの約90%はメタンです。メタンは炭素原子1つと水素原子4つが結びついている(CH4)。酸素はO2だから、メタンと酸素の反応を化学式で書くと、
CH4 + 2 O2 → CO2 + 2 H2O
メタンと酸素が反応して、二酸化炭素と水が発生するのが分かる。しかし、酸素が十分に供給されない状態だと
CH4 + O2 → 2 H2O + C
という反応になり、水と炭素が発生するのが分かる。この炭素が多いと赤色の炎になる。
理科の先生が空気の量を調節して青色の炎にしてって言ってたんだけど、これはちゃんとガスと酸素を反応させてっていうことだったのか〜!
火は物質じゃない
じゃあ火は物質じゃないってことだよね?
そういうことだね。火は化学反応の副産物(ふくさんぶつ:目的とする産物の生産過程で、付随して得られる他の産物)であって、物質ではなく現象ということになるね。
じゃあ、火を作る条件はどんなの?
火を生み出す必要条件
今まで説明した中でも火を生み出すのに必要なものはあったけど、それらをちょっと抽象(ちゅうしょう:事物または表象からある要素・側面・性質をぬきだして把握すること)的にとらえて見てみよう。
可燃物はガスバーナーで言えばガスだし、酸素は分かるけど、熱が必要だから火が欲しいのに、火を起こすには熱がいるって・・・。
サバイバルで火起こしとか、TVなどで見た事があると思うけど、火を起こすのはそこが大変なんだ。焚き火を思い出して欲しいんだけど、可燃物は薪(まき)や新聞紙などがあるし、酸素は地球上ならたいていどこにでもある。だけど、火を起こす為の初めの熱はライターやマッチなどがなければ手に入れるのは難しい。
じゃあ一度可燃物に火がついてしまえば、その火が次の火を生み出す熱になるって事?
その通りだよ。火がついてしまえば、可燃物と酸素の供給がたたれない限り火は継続的に生まれるんだよ。
なるほど〜。ちなみに火起こしに必要な温度ってどれくらいなの?
木の種類や湿度などの環境によって異なるけど、おおよそ250~260°Cと言われているね。
そんなに高いの!じゃあ摩擦で火おこしするってそうとう難しそうだ!250~260°Cの熱が必要って事は、火の温度って相当高いんだね!
さまざまな火の温度
火の温度に関して、例えばロウソクの炎だと、外炎(がいえん)、内炎(ないえん)、炎心(えんしん)と場所を分けると、温度がそれぞれ外炎(約1400℃)、内炎(約600℃)、炎心(約300℃)だ。
外炎ってそんなに高い温度なんだ!今回教えてもらったことから考えると、外炎が一番温度が高い理由は、可燃物が酸素と結びつきやすいからだね?
その通りだね。ではロウソク以外の炎の温度も参考までに。さっきのガスバーナーの炎の温度は約1700℃、太陽の表面は約6000℃だよ。
太陽は信じられないくらい熱い!
ちなみに炎が出ずに赤く光るタバコや炭火や電熱線も火だよ。ちなみにタバコの火の温度は高くて850℃程度、木炭で1000℃程度だよ。
言われてみれば、炎がゆらゆらしてるのだけが火じゃないよね!
太陽の温度も場所によって違う
ちなみに太陽の表面温度は6,000℃程度だけど、中心核は1,600万℃程度もある。コロナは100万〜300万℃程度あるよ。
またとんでもない数字が出てきた!あれ?火って酸素と結合しやすい場所が高温になると思ってたけど、太陽は中心が一番熱くなっているの?
太陽が燃えているのは核融合反応
実は太陽は燃えているわけではないんだよ。
どうして?太陽は熱も光も出しているから燃えているんじゃないの?
火の三要素を思い出して欲しい。火には熱と可燃物と酸素が必要だったよね?太陽には実はほとんど酸素がないんだ。
酸素がない?じゃあどうして熱と光を出しているの?あっ!核兵器は世界からなくなるか?②の水爆の話で教えてもらったね!太陽は水素の核融合でヘリウムを生み出して、その時に出るエネルギーで光と熱を生み出していたんだね!
よく覚えているね。その通りだ。太陽は地球に比べてずっと大きいから太陽自体の大きさによって高圧状態をを作り出し、高温高圧な状態なので核融合が起こる。ちなみに太陽の直径は地球の109倍くらいあるよ。
地球の直径の109倍くらい大きい太陽で、水爆みたいな核融合反応がずっと起きてるって考えると、ものすごいエネルギーだな〜!
ちなみに太陽を構成するガスの割合は下図の通りだよ。あまりにも高温だから、炭素も鉄も気化してガスになっているんだよ。
鉄も溶けるんじゃなくて気体になるくらい高温なんだね・・・。
鉄の融点(ゆうてん:固体と液体が平衡を保って存在する温度)は1536℃。
鉄の沸点(ふってん:沸騰し始める温度)は2863℃。
太陽は鉄の沸点よりはるかに高い温度だから鉄も気体になってしまうね。
20年以上前、筆者が学生だった頃に、近所の工場が全焼する火事がありました。幸い死者や負傷者は出ませんでしたが、大変な火災でニュースにもなりました。あとになって分かった事でしたが、その火事は友人の弟が火遊びをしていた事がきっかけで、その火が工場に引火したとの事でした。
詳細は知り得ませんでしたが、当時の話では、その友人の親は多額の賠償金を支払わなければならなかったそうです。実際、そういったケースでは、監督責任者である親に過失があるかどうかが問題となるようで、賠償金支払い義務があるかどうかは微妙なラインがあるようです。
何はともあれ、死傷者が出なかった事が不幸中の幸いではあるにしても、火遊びや火の不始末で建物や人などを失う事はよくあり、ニュースでもそういう話は日常茶飯事で見聞きする事はあるでしょう。
火は便利なもので、今の人間の生活には必要不可欠となっていますが、その取り扱いには十分な注意が必要です。
これも、残念な昔話ですが、友人の父親のタバコの火の不始末で、その友人宅が全焼し家を失うという事件がありました。タバコの火も立派な火です。街中でタバコをポイ捨てする人をたまに見かけますが、今回勉強したみなさんはタバコの火が炎を上げていないにも関わらず、その温度は850℃程度もあるということを理解していただけたかと思います。そして、火起こしに必要な温度は250~260°Cで、タバコの火が他のものを引火させるのに十分な熱があることを理解していただけたかと思います。
もし、ポイ捨てされたタバコが紙などに引火して、それがまた別のものに引火してと炎を大きくしていけば、誰かの家を火事にしてしまうかもしれません。そんな偶然起きるわけないと考える人もいるかもしれませんが、多くの火事は、そういった予想していない偶然の連鎖で起こっています。
私たちにできる事は、まずは原因を作らない。火元となるようなものを自分が作らないということです。焚き火も炎が出ていないから火が消えていると勘違いしないように、今回の記事がそういった皆さんの安全に関わる知識となれば幸いです。