雑草って何?

家の庭や道路脇など、いたるところに生える雑草。しかし、雑草という名の植物は存在しない。雑草と呼ばれる植物にも様々な種類がある。そんな雑草という言葉はどういう時に使われるのだろうか?雑草の定義から生命力の強さの秘密を一緒に見ていこう。

マー君
マー君

ディアボロ先生!学校の花壇に雑草が生えてくるんだけど、地域のボランティアの人たちが毎週抜いてくれるんだ!雑草ってどうしてどこにでも生えるの?

雑草という名の植物はない

まず、雑草と言っても色々な種類があるよ。そして、雑草と呼ばれる植物はなぜ雑草と呼ばれるようになったのかを学んでみよう。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

雑草って色んな種類があるんだ!雑草って邪魔な草っていうイメージがあるけど、雑草ってどういう分類で使われているんだろう?

雑草という言葉は、植物学の中でも定義が色々あるようだ。いつくかあるから下記を参考にして考えてみよう。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

雑草の定義

・耕地に生える無用な草

・人間の生活圏に生える草

・邪魔者扱いされた草

・歴史的に生み出された利用できない草

 『雑草が面白い〜その名前の覚え方〜【著作 盛口満】』参考

マー君
マー君

耕地や人間の生活圏で勝手に生えてきて邪魔で利用できないのが雑草ってことかな?嫌われ者だね!やっぱり僕のイメージ通りかも!

確かにそうだね。ここでのポイントは人間に嫌われるという点かもしれないね。人間の生活圏ではない、例えば山に生えていれば雑草とは呼ばれずに「野草(やそう)」と呼んでもらえたのにね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

野草と呼ばれたらなんとなく自然で良いイメージだよね!生える場所で呼ばれ方もイメージも全然違うなんて・・・。

人でも、大人の世界では、こちらでは邪魔者扱いされるけど、あちらでは重宝(ちょうほう:大切にすること)されるということがよくある。雑草も人間にとって、そしてどの場所に生えるかによって邪魔な存在なのか重宝される存在なのかが決まってくるんだね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

ん〜・・・。雑草ってついつい呼んでしまうけど、なんとなく悪いことをしているような気がしてきたな〜。

家の庭に生える草を抜くというのが日本では当たり前になっているけど、実は植物があることで蒸散(※)し周囲の温度を下げるという効果がある。打ち水と同じような効果だね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

※蒸散(じょうさん)・・・水が植物体から大気中に蒸発する現象をいう。

マー君
マー君

そういう効果を狙って庭に草を生やしておくなら、これはさっきの定義上から考えて、雑草とは呼べないってことにならない?

その通りだね。人間の役に立っているなら、定義上これは雑草とは呼べないね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

雑草がどこにでも生えるのは何故?

マー君のはじめの質問に戻るけど、雑草は確かにどこにでも生えるね。それは言い換えれば、手入れをしっかりしないと枯れてしまうような観葉植物などは雑草と呼ばれるだけの強さがないから、雑草として失格だということだ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

雑草と呼ばれたければ、それだけ生命力が強くなくてはならないんだね!雑草の称号は簡単には手にはいらないのか!

その通りだ。そして、雑草と呼ばれるには繁殖力が大事なんだ。一株から5万以上もの種をまく種類もある。発芽率が高く、根が強い事も大事だ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

雑草を抜く時に、根っこから抜きなさいって先生に言われたよ!根っこが残っていると、そこからまた目が出るんだって!根っこだけで復活して、種をいっぱい作ってたくさん発芽する強さが大事なんだね!

繁殖力で言えばそんなところだけど、「どうしてこんなところに生えているんだろう?」と疑問に思う場所に生えていたりするよね。それは種が風や水に流されて生息域を広げる方法や、鳥などの動物に果実を食べられて糞として落ちたところで種が発芽するというものもあるよ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

種は消化されてしまわないの?

これらの種子は堅(かた)い殻(から)に保護されていて、鳥の砂嚢(さのう※)の運動にも耐えられるようになっていたり、消化液によっても発芽力が低下しにくくなっている。こういう種子は動物散布型の種子と呼ばれているよ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

※砂嚢(さのう)・・・鳥類の胃は、消化酵素ペプシンを出す前胃と、それに続く砂嚢に分かれていて、とくに草食性の種類では、砂嚢はキチン質の層も筋肉層もきわめてよく発達している。鳥類は歯をもたないが、食物は前胃で消化酵素と混ぜられたのちに砂嚢で時間をかけて咀嚼(そしゃく)、消化される。

マー君
マー君

植物は動物みたいに動いたりはしないけど、子孫を残す為にそんな進化をしたんだね!

元々そういう種類が生き残ったのか、進化したのかは分からないけどね。ただ、そうやって様々な方法で生息域を増やしていったというのは偶然ではなくて、進化によるものだと考えられそうだよね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

そうなのか〜!雑草ってどんなところにでも生えているけど、僕はこれから雑草を見つけたら、風とか水とか動物に運ばれてはるばるここまで来たんだなって考えるだろうな〜!見方が変わったよ!

雑草をもっと知ってみよう

マー君
マー君

クローバーってシロツメクサっていう名前だったんだ〜!これも雑草の称号をもっているんだね!

人間の生活圏で、どこにでも勝手に生えて無用と言えば無用なので、見事に雑草の称号を手に入れているね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

ひっつき虫!

コセンダングサという植物だね。これは、公園とか植物の多いところで遊び回ると、気がついたら服にいっぱいついてしまうアレだね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

アレは僕の体にもたくさんつくから嫌いなんだよね〜!見事な雑草だよ!

マー君
マー君

タンポポ!これは風で種を飛ばすタイプだね!

そうだね。風散布型の種子だね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

あれもこれも雑草

マー君
マー君

僕が雑草だと思っていなかったものも雑草と呼ばれるものが多いような気がする!

人の生活圏において、役に立たない邪魔なものを雑草と言う以上、ほとんどの植物が雑草と呼ばれてしまうよね。もちろん、その人にとって雑草だったとしても、別の人にとっては雑草でなかったりする。見方次第だと言えるかもしれないね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生

古代ギリシャの学者であるアリストテレスは、「植物は逆立ちした人間である」と言ったそうな。確かに栄養を吸収する根は人間の口に相当し、生殖器は一番上にある花なので、人間と反対と言えば反対だ。

植物は動かないし喋らないし、そもそも脳がない。人間とは全く別の生物ではあるが、子孫繁栄をし、生きるフィールドを広げていくという点においては同じかもしれない。

私たちは、植物を見ると自然を感じ、癒される場合もある。しかし、こと雑草においてはほとんどの場合嫌なイメージを持ってしまう。しかし、そんな雑草も野山に生えていれば癒しとなる。

地球温暖化が叫ばれている昨今でさえ、自宅の庭の手入れと称し、雑草を引っこ抜いているのは矛盾しているような気にもなる。人間はこの植物はここに生えていても良いが、この植物がここに生えてはいけないと様々なルールを作っているようだ。

もちろん、耕地においては雑草は養分を奪う為に抜かなければならないが、そうでない場合も排除するのはどういうことなのだろうと考えてしまう。

植物は声をあげないが、生き物であることは人間と違いない。家の庭や道路や街全体において、どの場所にどの植物を配置するのかを決定し実行している人間は、植物にとっては神のような存在に映るに違いない。

私は温厚な神なので、面倒臭いと言う心模様を柱とし、庭の雑草を生き生きと育てている。

西 友広
  • 西 友広
  • 趣味:映画鑑賞(ジャンル問わず)
       山登り

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