地球温暖化③CO2と再生可能エネルギー
そもそも地球温暖化の原因とされている気体は二酸化炭素だけではない。しかし、なぜ二酸化炭素ばかり取り上げられるのか。そもそも地球は誕生以来、ずっと同じ気温で存在している訳ではない。根本的に温暖化とは何か、二酸化炭素についての知識を学びながら考えてみよう。
ディアボロ先生!地球が誕生して今までに氷河期があったって聞いたよ!なんで地球は暖かくなったり寒くなったりするの?
地球は約10万年に一度のサイクルで氷期と間氷期を繰り返していると言われている。理由は地球の自転軸がブレたり、公転の軌道(地球が太陽の周りを回る軌道)が変化する事によって引き起こされると言われている。これをミランコビッチサイクルと言うよ。温室効果ガスが大気中にないと地球の熱が宇宙空間に出て行ってしまうから寒くなる。逆に温室効果ガスが多すぎると地球に熱がこもって暑くなるね。
やっぱり太陽の光が影響するんだね!
そうだね。あと氷河期で有名なのは約6500年前にメキシコに落ちた巨大隕石があるね。土砂が塵(ちり)になって地球を覆った事で、太陽の光が地表に届きにくくなって氷河期がきたという話があるけど、太陽の光が地表に届かないと寒くなるよね。
それは僕も知ってるよ!恐竜が絶滅したって前に学校で習ったよ!
クレーターの大きさから、隕石は直径10km以上だったと言われているよ。その衝突のエネルギーは凄まじいものだって何となく想像できるね。
10kmって10,000mでしょ?富士山の高さより大きい隕石だね!その頃に生まれてなくて良かったよ〜!もう一個質問があるんだけど、さっき先生が言ってた温室効果ガスって二酸化炭素の事でしょ?今増えてきてるって聞いたけど、昔からずっと少なかったの?
温室効果ガスとは?
まず温室効果ガスは二酸化炭素以外にもメタン、一酸化窒素、フロンなどがある。フロンだけは自然界に存在するものではなく化合物で、アメリカのデュポンって会社が開発して販売したものだよ。
温暖化ポテンシャルっていうのは二酸化炭素を基準として、他の物質の温暖化への影響力を表している。図を見てみると明らかに二酸化炭素の影響力は小さいのが分かる。だけど、大気中の濃度を見ると圧倒的に二酸化炭素の濃度が高い。だから二酸化炭素が温暖化の代表的原因とされているんだ。そして、大気中の物質の割合は下の図を見てみて。
地球の大気の割合
窒素(N2)約78%
酸素(O2)約21%
アルゴン(Ar)・二酸化炭素(CO2)など 約1%
ほとんど窒素なんだ!二酸化炭素って1%しかないの?
この表ではアルゴンと二酸化炭素を合わせて1%としているけど、正確にはアルゴンが0.93%、二酸化炭素が0.03%程度だよ。
0.03%!ほとんどないと言っても良いくらいじゃないの?
この少ない量で温室効果があるというから驚きだよね。昔からこんなに少なかった訳ではなくて、ものすごい長い時間をかけて二酸化炭素の濃度は下がっていったんだ。
二酸化炭素濃度の歴史
地球誕生から窒素濃度に大きな変化はありませんが、二酸化炭素は年々減少しています。二酸化炭素の減少とは反対に酸素濃度が上昇しているのが分かります。地球誕生時は高温、高圧の水蒸気に覆われており、その後数億年かけて徐々に地表温度が下がり、水蒸気が雨となり、海が出来たと言われている。海が出来た事により二酸化炭素が海に溶け込み、石灰岩(炭酸カルシウム)として海底に堆積することにより、二酸化炭素の濃度は徐々に減っていったとされている。ラン藻(シアノバクテリア)が約27億年前に海中に誕生し、光合成を行うようになると、二酸化炭素濃度は更に減少し、酸素濃度が上昇したと言われている。一部の学者は二酸化炭素濃度が上昇すると植物の成長が促され、その後に二酸化炭素の濃度が再度減少するという意見もある。
これだけ二酸化炭素が減ってきたのに、今地球の二酸化炭素濃度が上がってきているのはおかしいと考えて良いって事?
そうとも言えるよね。二酸化炭素の濃度はどれくらいが良いのかは分からないけど、増え続けるのは問題だろうね。ただし、二酸化炭素濃度が低すぎると植物に光合成をする力が弱まって成長出来なくなる。植物の種類にもよるけど、大半の植物は今の二酸化炭素濃度が4分の1以下になると成長しにくくなると言われている。逆に濃度が上がれば成長が促進される事もある。二酸化炭素濃度が高くなった事で緑化地域が増えたという報告もあるよ。だからと言ってこのまま二酸化炭素を放出し続ければ温暖化が進んでしまうだろうけどね。
色々問題が絡み合いすぎて頭がおかしくなりそうだよ〜!
地球温暖化問題は多くの学者の間でも意見が分かれているし、本当に難しい問題なんだ。未来を予測しようにも、現時点で分からないことが多すぎるのに、シミュレーションなんて出来ないという学者もいる。地球誕生から今までの歴史を考えると、今の地球温暖化は一連の流れだとも言えるかもしれないけど、二酸化炭素濃度の上昇率は、明らかに人為的(人の手が加わっているという意味)であると多くの学者が認めている(全てではないけどね)。
やっぱり難しい〜よ〜!だけど、まずは知ることからだもんね!先生の話を聞いて考えた僕の結論を言うよ。
地球は長い歴史の中で多くの動物が生きやすい環境に少しずつ変化していった。それは二酸化炭素が気体から固体に変化していった事で空気中から減ったから。今は酸素も二酸化炭素もちょうど良いくらいだとしたら、せっかく自然が二酸化炭素を固体にしてくれたんだから、人為的にそれをまた気体にしちゃいけないって思うんだ!
なるほど。それは石油や石炭をこれ以上エネルギーとして使い続けない方が良いっていう結論だね。
そうだよ!あとこれ以上森林が減らないようにしなきゃね!
発電方法と再生可能エネルギー
マー君の結論は、現在先進国で取り組まれているCO2削減と同じ考えとなった。しかし、現時点で石油や石炭、天然ガスのような化石燃料を使わないで生活する事は非常に困難です。新しくメタンハイドレードの活用も考えられるかもしれませんが、これも温室効果ガスが発生します。CO2が発電時に発生しない原子力、風力、太陽光など、化石燃料の代わりにの発電方法もありますが、原子力は事故や放射性廃棄物処理等の問題がありますし、その他は発電効率が高くありません。
水力発電は発電効率が約80%と高く、日本に2000カ所以上も発電所がありますが、発電量は全体の7.8%となっています。風力の発電効率は20〜40%、地熱やバイオマスは20%です。太陽光発電は現時点で40%弱ですが、今後更なる発電効率の向上が期待されています。ちなみにLNGは液化天然ガスの事です。円グラフの通り、現時点で80%弱がCO2の発生する発電方法となっていますので、今後再生可能エネルギー(石油や石炭など有限の資源ではなく、太陽光や風力、水力など枯渇しないエネルギーの事)の効率利用が求められています。
また、CO2の問題以外にも石油や石炭、LNGなど化石燃料に関しては、いつか枯渇する燃料でもありますので、近い将来CO2の問題を抜きにしても再生可能エネルギーへと変換されていきます。もちろん原子力発電は強力な発電量を誇りますが、福島原発の事故が記憶に新しい中、過去海外でも事故は発生しています。もし再生可能エネルギーだけで電力を賄えるなら、原子力は使わないに越したことがありません。
太陽光発電は自家発電可能です。そして自家用車が電気自動車で自宅で充電するのが当たり前という世の中になれば、化石燃料の消費はダブルで抑えられるはずです。太陽光で発電したものを売電する仕組みをもっとスムーズに行えるようしたり、安定的に売電できるシステムが確立すれば、多くの方が安心して太陽光パネルを自宅に設置出来るはずです。発電効率の向上という技術革新と共に、制度の確立を保証することで、個人で再生可能エネルギーによる発電は、ますます加速するはずですし、それを促す流れは必須であると思います。