核兵器は世界からなくなるか?

日本は核兵器の唯一の被害国です。日本人は核兵器の威力をよく知っています。しかし世界には核兵器の悲惨さを知らない人が多い事を日本人はあまり知りません。アメリカではもし核兵器が都市部に落ちたらというCGを用いてその威力と悲惨さを訴える人もいます。私たちは悲惨さだけでなく核兵器についての知識を幅広く知るべきかもしれません。

マー君
マー君

ディアボロ先生!北朝鮮って核兵器とかミサイルの実験いっぱいしてるけど、世界で一番核兵器を持っている国なの?

北朝鮮は確かに実験をしていたね。北朝鮮は核兵器をたしかに持ってはいるけど、世界一ではないよ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
2019年6月1日現在の国別核保有数(RECNA 核弾頭データ追跡チームの資料を基に筆者作成)
マー君
マー君

ロシアとアメリカが6000以上もの核兵器を持っているのか!恐ろしいね!北朝鮮は30だけか〜。

一つでも持っていれば脅威だけどね。それにしてもロシアとアメリカの核保有量には驚かされるよね。核保有数トップ5ヶ国を見て何か思い出さない?

ディアボロ先生
ディアボロ先生

核兵器不拡散条約(NPT)とは

マー君
マー君

国連の常任理事国だね!第二次世界大戦で勝った連合国が核兵器をたくさん今持っているということだね!

その通りだよ。そして1970年3月5日に発効させた核兵器不拡散条約(NPT)は、世界に核兵器が広まってしまわないように、それ以前(1967年1月1日以前)に核兵器その他の核爆発装置を製造しかつ爆発させた国以外に核の拡散を防止する事を取り決めた。そしてそれ以前に核を持っていた国が連合国であり、国連の常任理事国という訳だ。連合国側は核実験を繰り返しながら、非核保有国に対しては核実験は認めていない。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

それってずるい考えじゃない?連合国側が世界を支配してて、全て正しいと言ってるようなものだよね?核実験自体を良いとは思わないけど、公平じゃないよね。それなら連合国側も実験をしないと言わないといけないんじゃないの?

そう捉えられてもおかしくないだろうね。それでも締約(ていやく:契約や条約を結ぶこと)国は191か国・地域(2015年2月現在)だから、世界的に納得しているし、納得せざるを得ない状況なんだろうね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

核兵器がこれ以上増えて戦争が広がらないようにするにはそういうものも必要だって事だね?正義は勝つというより、勝ったら正義みたいなところがあるのかな。

正義という言葉には人が従うべき道という意味もあるけど、従わざるを得ない道もあるということかもしれないね。常任理事国に納得していなかったとしても、それで結果的に世界から戦争が少なくなったり、核の脅威が減るのであれば、良しとしようという考え方もできるね。核兵器不拡散条約(NPT)には連合国側が非核保有国に対して核の軍事利用に関して一切援助しないとしているから、ちゃんと条約の名の通り、核の拡散は防止する役割は果たしていると言えるね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

でも北朝鮮のように核兵器の開発を進めている国もあるんだよね?

核兵器不拡散条約(NPT)非締約国

インド、パキスタン、イスラエルは核兵器不拡散条約(NPT)に締約していない。だから核兵器を持っているし、その数を増やしている可能性がある。南スーダンも非締約国だけど核は保有していない。まだ建国して間がない国だからね。北朝鮮は2002年に核兵器不拡散条約(NPT)からの脱退を宣言した。そして今では30もの核を保有していると言われているね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

結局、核兵器不拡散条約(NPT)があったとしても、核は広がってしまうんだね。

でも、もし核兵器不拡散条約(NPT)がなくて、国連という組織がなかったとしたら、第二次世界大戦後の世界はどうなっていたんだろうね。これは起こらなかった非現実の世界だから答えはないけど、考えてみることは大事だと思うよ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

核がない世界が良いけど、作れる技術があるのに世界から核が全て消えるとは考えられないかな。核に限らず、兵器すべてそうだけど。

そうだね。戦争に使われる兵器全てがなくなれば良いけど、今すぐには難しそうだね。だけど核兵器不拡散条約(NPT)では、核軍縮義務があって、これは特に明確な目標ではなく努力目標なんだけど、それぞれの核保有国との交渉を続けて、全体的に核兵器の数を減らしていく義務がある。なくなるのが理想だけど、まずは数を減らしていく事を段階的に考えていくのが現実的だろうね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

そうすれば核のない世界も想像しやすくなるかな!いきなりゼロは想像しにくいけど、数が少なくなってきたら現実味が出てくるもんね!

核兵器と通常兵器の大きな違い

通常兵器の中でも戦争に使ってはいけないというものがいくつかあるんだ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

戦争にもルールがあるの?

戦争はただ人をたくさん殺害する為に行うのではなくて、相手国に言う事を聞かせる為に行うんだ。戦争したくないと思っていても、一方的に攻撃されれば戦闘になるよね。相手に戦闘行為を止めさせる為に戦うこともあるだろうね。だからたくさん人を殺せば良いんじゃなくて、戦闘不能にするか、諦めさせるのが目的だよね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

考えるの嫌だけど、そうだよね。戦争ってバカバカしいね。人をたくさん殺すことが目的でないから、あんまり傷つけないような兵器にしてねってこと?

結局兵器だから人を傷つけるんだけど、過度に障害を与えてしまうようなものだったり、無差別に人を殺してしまうようなものを禁止しようというのが特定通常兵器使用禁止制限条約で、1983年に発効されたんだ。非人道的な効果を有する特定の通常兵器の使用の禁止又は制限しようということだね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

どんなのが非人道的な兵器なの?

検出不可能な破片によって障害を与えるのが目的な兵器や、地雷の禁止。ナパーム弾は人口密集地にある軍事目標に落としてはいけない。失明をもたらすレーザー兵器の禁止などがある。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

無差別に一般市民を巻き込んではいけないっていう感じだね!

そうだね。そう考えると核兵器はほとんどどこに落としても多くの人を巻き込んで、さらには放射能汚染によって、長く多くの人を汚染し殺したり苦しめたりする兵器だよね。これはどう考えても規制されるべき兵器。あまりにも威力が大きくて無差別に人を殺し苦しめる兵器だ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

通常兵器じゃないね。こんなの使っちゃいけないって多くの人が思ってるでしょ?核兵器って世界的に使っても良い兵器って思ってるの?

国際司法裁判所(ICJ)の核に関する勧告的意見

国際連合憲章第 2 条 4 項に違反し、第 51 条の全ての要件を満たさない核兵器による武力行使又は威嚇は違法である。

核兵器の使用又は威嚇は、武力紛争に適用されうる国際法、特に国際人道法の 諸原則や諸規則の諸要件、ならびに核兵器を明文で扱う条約その他の約束の下での特定の諸義務との要請とも両立するべきである。

上記の諸要件から言えるのは、核兵器の威嚇または使用は、武力紛争に適用さ れる国際法の諸規則そして特に人道法の諸原則と諸規則に、一般的に反するだろう。しかしながら、国際法の現状から見て、また確認できる事実の要素から見て、 核兵器の威嚇または使用がある国家の生存そのものが危機に瀕しているような自衛の極限的状況において合法であるか違法であるかを、ICJは明確に決するこ とができない。

多くの国は核兵器の使用を認めていないし、威嚇することも認めていない。そして国際司法裁判所もそれらの意見と同様の意見を出した。ただし、核保有国が自衛の極限的状況に置かれた場合に違法であるかはICJは明確な意見はないと言っている。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

どんな場合もダメだと言っている訳じゃなくて、自分の国がひどい事になっていてどうしようもないときは使っても仕方ないかもってこと?

国際司法裁判所としてそういう結論にはなっているね。「一般的に反する」と言った用語をわざわざ用いるところにも、結論を濁すような印象があるね。だけど特定通常兵器使用禁止制限条約を考えると、核兵器の使用に関しては明らかに違反であると考えられるはずなんだけどね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

そうだよね。無差別に殺人や破壊が起こるし、放射能汚染もあるもんね。

核兵器は明らかに無差別大量虐殺兵器であり、放射能の被害により命を取り留めても深刻な問題を継続的に引き起こす悲惨な兵器である。さらに環境汚染も避けらない。そんな兵器が世界に現在1万以上も存在している。

次回の記事で紹介するが、原爆はさらに水爆という桁違いの兵器を進化させている。水爆はもはや太陽の核融合と同じであり、その威力は原爆の比ではない。

常任理事国(連合国)が大量の核を保有することで、世界の戦争の抑止力として働いるかどうかは定かではないが、少なくとも現時点で日本はアメリカの核の傘の下で安全を担保されていると言われている。

海外から日本の原爆ドームに足を運んだ人が、「ここに原爆が落ちたの?ここが公園で良かったね。」と言っていたと聞いた。日本人にとっては信じられない意見だが、海外の反応はここまで極端でないにしろ、日本人より深刻に考えるものではないかもしれない。

そういったギャップを知ることも大事であり、そうであれば日本が世界に原爆の悲惨さをもっと訴えていく運動を起こした方が良いのではないかと考えられないだろうか。

本当の被害、悲惨さを世界が認識すれば、核軍縮を加速させるかもしれない。私自身核のない世界を理想だと思いながら、全てなくなるというイメージは未だ湧かない。それでも、大国であるロシアとアメリカが核保有数を減少させていくことは大いに意味があると思っている。

北朝鮮は核を保有し何を考えているのかと思う一方、それとは桁違いの核を保有している国があることも知らなければならないし、無視してはいけない。

世界の警察を降りたアメリカは核を大量に保有するただの超大国となった。それだけでは大きな問題が直接ふってくる訳ではないかもしれないが、世界は時々刻々と変わり、国民の感情もどのように変わるかがわからない。

日本の平和は日本だけで完結する訳ではない。世界の中の日本であるが故に、他国の情勢に左右されてしまうこともある。しかし、日本は原爆の唯一の被害国として、世界に対し正確に悲惨さを伝えられる唯一の国なのだ。

それだけは過去から今、そしてこれからも変わらないはずである。私たちはただの第二次世界大戦敗戦国の国民なのではない。直接原爆の被害を受けた訳ではない現代の日本人であったとしても、他国の国民より原爆の被害についてよく知っている。

ドイツの学生はナチスの非道を繰り返さない為に学校で自国の悪事を徹底的に学ぶ。彼らは直接戦争に関係した訳ではないにも関わらず、ドイツ人として責任を負っている。

私たちも原爆の被害を受けた唯一の国民として、その悲惨さを海外の人や次の世代に伝えていく責任があるのではないか。それは世界の中の日本人としてである。

西 友広
  • 西 友広
  • 趣味:映画鑑賞(ジャンル問わず)
       山登り