歯周病で認知症になる?

歯周病は痛みがなく進行する恐ろしい病気です。普段しっかり歯を磨いているつもりでも歯周病になる場合があります。そしてそんな歯周病が認知症と深い関わりがある事が分かってきています。歯周病は全身疾患にも影響を与えており、もちろん歯を失うリスクもあります。歯周病と認知症の関係。そして歯周病予防を考えていこう。

マー君
マー君

ディアボロ先生!歯周病って何?虫歯とは違うの?

虫歯は歯そのものが菌によって壊されるものだけど、歯周病は歯茎で隠れている歯の根本の方の歯根膜(しこんまく)が菌によって壊されて、歯が抜けてしまったり、歯以外の全身の病気を引き起こすと言われている病気だよ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

どうして歯以外の病気になるの?

虫歯の場合は歯だけの問題だけど、歯周病は歯の根っこまで菌が入り込んでしまう。歯周病菌は歯茎の中の血管にまで入り込んで全身に流れていってしまうんだよ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

じゃあ歯周病菌が脳まで行っちゃうことだってあるの?

脳で見つかった歯周病の原因菌

2013年に医学雑誌に歯周病の原因菌である「Pg菌」がアルツハイマー患者の脳から見つかったとの報告が掲載された。アルツハイマー患者ではない人からは検出されていないものだけど、アルツハイマー患者10人中4人の脳からこのPg菌が見つかったんだ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

脳で菌が見つかるなんて・・・。じゃあPg菌がアルツハイマーの原因?

この結果を見ても分かる通り、全員から検出されている訳ではないから、アルツハイマーの原因がPg菌だとは言えないね。でも、アルツハイマー患者の脳から検出された訳だから、何かしらの悪影響を認知機能にもたらしている事はあると考えられた。研究によって歯周病菌がつくりだす毒素が脳の炎症が強くし、免疫細胞が活性化して脳の神経細胞を攻撃するのが分かった。だからPg菌が原因ではいにしても、アルツハイマーの症状を助長(じょちょう)させる事が確かになったね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

歯周病怖いね・・・。Pg菌ってどんな菌なの?

「ポルフィロモナス・ジンジバリス」Pg菌とは

Pg菌はポルフィロモナス・ジンジバリスといって、歯周病の原因菌の中でも血液をエサにして生きていて酸素が苦手な菌なんだ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

吸血鬼みたいな菌だね!酸素が苦手で血液が欲しいから歯茎の中に入っていくの?

そうだね。歯周病でない人の口からも見つかっていて、普段は特に悪さをしないんだけど、口の中が不潔になって、歯茎に炎症が起こって血が出るようになると、Pg菌が数百倍から数万倍まで 数が増えるんだ。歯茎の炎症などで歯を支えている顎の骨(歯槽骨)を溶かし歯周ポケットが4mm以上の深さになると、酸素が少ない環境ができて、さらにPg菌が繁殖するんだ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

体はPg菌と戦えないの?そんなところまで歯ブラシ届かないよね?

そうだね。そこまでひどくなる前にしっかりケアしないといけないね。体もちゃんと反応してPg菌が歯茎の奥に侵入すると免疫細胞はこのPg菌に攻撃をしかけるんだ。だけど、この戦いで免疫細胞が出す酵素や活性酸素によって自らの骨も溶かしてしてまう。これが歯周病だね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

敵と戦う時に自分にもダメージがあるのか。でもさ、脳ってそんな簡単に菌が入ってしまうの?

血液脳関門を通り抜ける恐ろしい「Pg菌」

脳には「血液脳関門(けつえきのうかんもん)」というゲートがあって、脳にとって有害なものをこのゲートが防いでくれているんだ。それにも関わらず、「Pg菌」はこのゲートを通り抜けてしまう。「Pg菌は」元々歯肉(歯茎)や歯槽骨(しそうこつ)を分解してエサにする菌だから、血管を攻撃して血液脳関門を突破しているのではないかと言われている。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

じゃあ普通はそういった菌は脳にまで侵入されないんだね。「Pg菌」は怖いね!じゃあ歯周病にならないようにどうしたら良いの?

やっぱり歯磨きは大事

虫歯予防も同じだけど、やっぱり歯磨きが一番大事だね。もちろん糖分を摂らなければ菌の繁殖を抑えられるから良いんだけど、そうなるとご飯やパンだけじゃなくて、ほとんどの食べ物を食べられなくなっちゃう。だからやっぱり毎日の歯磨きが大事だね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

歯磨きを毎日してたら歯周病にはならない?

実は歯磨きで除去できる汚れはたった6割程度だと言われている。歯磨きをしても上手に時間をかけないとダメと言われているけど、上手に歯磨きをしても全ての汚れを除去できる訳ではないんだよ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

そんな〜!じゃあどうしたら良いの?

歯ブラシ以外に歯間ブラシを使って、歯の間をキッチリ磨くことをお勧めするよ。歯医者さんも歯間ブラシを勧めてくれると思うけど、歯ブラシでは歯の間までは綺麗に出来ないからね。歯間ブラシも歯医者さんに相談して、自分にあったものを教えてもらうと良いよ。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

歯間ブラシか〜!これから使ってみるよ!

セルフケアとプロフェッショナルケア

残念ながらそれだけでも十分とは言えないんだ。人間の寿命はどんどん伸びていて、死ぬまで自分の歯を維持するのは困難になってきている。歯は徹底してケアしていく必要があるのはもう理解していると思うけど、そうなると自分だけでケアしていても難しい。歯間ブラシを使ったから100%汚れがなくなって、歯垢(しこう)も歯石(しせき)も全くない状態は作れない。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

やっぱり歯医者さんに行かないとダメ?怖いんだけど・・・。

歯医者さんに定期的に診てもらっておいた方が良いよ。それに普段から歯医者さんに診てもらっておけば、ひどい虫歯や歯周病の予防になってマー君が思うような痛い治療をせずに済む。定期的な歯石の除去程度のケアはほとんど痛みもないしね。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

歯を削られたり歯を抜いたりするのを思えば、定期的に診てもらう方が良いかも。

歯磨きというセルフケアと、歯医者さんに診てもらうプロフェッショナルケアを合わせて、いつまでも自分の歯で食事が出来て、歯周病からくる全身の病気を予防しよう。

ディアボロ先生
ディアボロ先生
マー君
マー君

分かった!まずは歯医者さんに行ってみる!

日本は超高齢社会になりつつあります。歯の健康はさまざまな全身疾患(糖尿病、心臓病、脳卒中、癌、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)、アルツハイマー病)の予防になると考えられているので、死ぬまで健康である為には歯が健康である事が必要です。

高齢者の増加。そして寿命が長くなっている事により、認知症を患う人の率は増えていきます。認知症予防の為に頭の体操をする方は多いですし、そのような努力は報われると思います。また1日20分程度の有酸素運動も認知症予防に効果的だと言われています。頭を使う事と体を使う事は脳にとっても良い事のようです。

歯の健康が認知症の予防につながる可能性がありますので、もし認知症予防の為に努力を続けてきた人は、ぜひこの機会に歯のセルフケアとプロフェッショナルケアを見直してみてはいかがでしょうか。

また、しっかり噛むことで脳が活性化するというのは有名な話です。噛む刺激だけでなく、口の中で食べ物を舌や歯でコントロールしながら味わうという複合的な運動は、実は非常に高度な運動なのです。指を動かすと頭に良いと言いますが、食べ物を食べるというだけで、かなりの刺激が脳に与えられている事も知っておきましょう。

認知症になりたくないのは私を含めてほとんどの人の希望だと思います。歯医者さんで定期的なケアを受けるのは高額ではありません。しかし、インプラントなどが必要な状態になると非常に高額な治療になります。

普段のケアを怠ると、後々に高額な支払いが待っているだけでなく、自らの健康も損なう事になりかねません。当たり前に行っている歯磨きなどの歯のケアだからこそ、見直す機会を持ってみるのをお勧めします。

西 友広
  • 西 友広
  • 趣味:映画鑑賞(ジャンル問わず)
       山登り