カイロはなぜ温かくなる？

誰もが一度は疑問に思うところだよね。まずカイロには何が入っているかだけど、あの中には鉄、水、保水剤、活性炭が入っているんだ。

実は鉄が錆びる過程で熱を出すんだ。その熱をカイロは利用しているんだよ。

鉄が錆びるというのは、鉄が酸素と結びつく反応のことなんだけど、これを酸化というよ。だから鉄が酸化して酸化鉄になる。この変化をするときに熱を発生させるんだ。

そうだね。鉄と酸素が結びついて酸化鉄になるけど、鉄と酸素を足した質量＝酸化鉄ではないんだ。ごく僅かに質量を失っている。この失った質量分が熱エネルギーに変わるんだ。

そういうことだね。その熱エネルギーを利用したのがカイロってだね。

それは鉄がゆっくり酸化しているからだね。ゆっくり酸化しているなら熱もゆっくり出ているから気づかない、だけど、急激に多くの鉄が酸化すれば、熱をたくさん出す。カイロにはそういう工夫がされているんだよ。

まず、カイロの中に入っている鉄は、鉄粉（てっぷん）といって鉄の粉が入っている。鉄粉は空気に触れる面積が広い。だから酸化するスピードが早いんだよ。

そうだね。そしてそのサラサラしてるものの中には活性炭というものがはいっている。活性炭は木材を加熱して作られているから炭素なんだけど、炭素自体は鉄と結びついて酸化はしない。活性炭をカイロの中に入れている理由は活性炭の特徴を生かす為なんだ。

炭は多孔質（たこうしつ）という特徴がある。多孔質とは微細な隙間がたくさん空いている性質の事で、多孔質だからこそ脱臭効果があったり、水を綺麗にする効果があると言われているんだ。

その通りだよ。活性炭は人工的にこの性質を高めて、表面積を炭の約3倍程度までに増加させているんだ。だから微細孔に多くの酸素を取り込むことができ、鉄粉に酸素をたくさん供給する手助けをするんだ。

そうだね。鉄は濡らした状態で放置すると錆びるのはみんな知っているよね。でも濡れているから錆びるというのは間違いで、電気を通しやすい状態であれば錆びやすいというのが正しい。だから水は水でも純水（電気伝導度が低い）につけていても錆びにくい。水道水のような電気を通しやすい水、もしくは塩水のように電気をさらに通しやすいものにつけておくとあっという間に錆びてしまう。

そうだね。塩水は電気を通しやすいから海水に鉄をつけるとすぐに錆びてしまうね。ちなみにカイロを製造する会社によっていはただの水ではなくて塩水を使っているところもあるよ。

そうだね。原理を知ると面白いものだね。ちなみにカイロと同じように使われていたものは江戸時代からあったんだよ。

江戸時代では囲炉裏（いろり）で温めた石を布にくるんで懐（ふろころ）に入れるといったような温め方をしていたらしい。

それがカイロの始まりといわれているんだけど、カイロは懐炉って感じで書く。炉で温めた石を懐に入れると書くんだよ。