津波はどうして起きるのか？

津波は地震が発生した後に起こるよね。前回の地震のメカニズムで勉強した通り、地震の多くは大陸プレートが海洋プレートに引きずり込まれていって、そこから元に戻る「跳ね上がり」が原因だったね。その「跳ね上がり」で海水も押し上げられて津波が発生するんだよ。

津波の映像とかを見たことがあるかもしれないけど、陸に上がってきた津波は36km/hくらいだね。自転車を頑張ってこいだ時くらいのスピードだから、走って逃げたりするのは不可能だね。

それが、津波は水深が深いと速度がとんでもなく早くなるんだ。水深100mなら110km/h、水深500mなら250km/h、水深5,000mなら800km/hにもなる。

そうだね。ただ、水深が深いと波は低くなる。水深が浅くなるにつれて波が大きくなるんだ。ちなみに2007年8月16日に発生した南米ペルーの大地震の津波は日本にも届いたんだよ。日本の各観測所ではだいたい10cmの津波として観測された。

ちなみにペルーで起きた津波は日本に到達するまでにかけた時間は約20時間。やっぱり800km/hくらいの速度が出るんだろうね。

良い着眼点（ちゃくがんてん）だね。同じ波でも、全然性質が違うんだ。マー君の言う通り、台風などの風による波は海岸に強く打ち付けているけど、陸地に乗り上がってきて家などの建物を流してしまう程ではないね。台風で家が流されるのは雨によって河川の氾濫が原因だね。

風による波は、海の表面だけが動いているけど、津波は海底から押し上げられた海水が底から動いている訳だから、津波は重たそうな印象を受けるのかもね。ちなみに風で起こる波を波浪（はろう）と言うよ。

その通りだね。高波の波長は数m〜数100mくらいだけど、津波の波長は数km〜数100kmくらいだ。マー君のイメージ言う通り、風で起こす波は細かく波長が短い。海底から起こる波は波長がとても長い。この違いは陸地に押し寄せる波の威力に大きく関係してくるんだ。

それは大いにあると思うよ。東日本大震災の時の１０メートルの大津波を乗り越える巡視船｢まつしま｣の映像が残っているけど、これは福島県相馬市の沖合約５キロの洋上。水深が深い場所だね。映像を見ると目の前に壁が迫っている様な感じで、船が山を登っていく様にも見える。これは沖合で津波がどんな顔を見せるかがよく分かる貴重な映像だね。

そうだね。福島県では津波の高さが20mにもなったところがあったようだ。遡上高（そじょうこう：津波が海岸から内陸へかけ上がるときの高さ）は40mにもなったから、被害は甚大になってしまったね。

津波の前に潮が引くことがあるけど、潮が引かずにいきなり津波が来ることだってある。スマトラ沖地震のときは、スリランカやインドの沿岸に直前に潮が引くことなく大きな津波が押し寄せた。だから潮が引いてないから大丈夫とは絶対に考えてはいけないね。

あと、津波は波浪と違ってただの波じゃないのは先に説明した通り。もう少し違う言い方をすると、波浪は海の表面に起こる波で、津波は海自体が動くもの。全く性質が違うから、津波に巻き込まれるとものすごい力で沖に流される。たとえ30cmの高さの波でも足を取られて沖に引きずり込まれる可能性がある。絶対に津波警報が出たら避難してね。