ロウソクはどうやって作られる?
最近は停電の際や誕生日ケーキに灯すくらいしか活躍の場がないロウソクですが、宗教儀式で登場する事が多いようです。また敬虔なユダヤ教徒の方々にとってはなくてはならない存在です。癒しの効果があると言われており、海外ではロウソクの需要は高いそうです。ロウソクの作り方からロウソクの魅力まで一緒に見ていこう。
和ろうそくと西洋ロウソク
ディアボロ先生!ロウソクってロウから作られてるんでしょ?ロウって何?
ロウは蝋(ロウ)って書くんだけど、元々は植物や動物の油脂から採取されてたんだけど、近年では石油の原油を分留(ぶんりゅう)して得られる蝋質の炭化水素であるパラフィンを使う事が多くなっているね。誕生日ケーキに立ててあるロウソクは西洋ロウソクと言って、このパラフィンを原料にして作られてるんだ。
誕生日ケーキのロウソクって西洋ロウソクって言うんだ!あのロウソクは石油から作られてるパラフィンっていうのを使ってるんだね!じゃあ和ろうそくっていうのもあるの?
そうだね。和ろうそくは石油由来ではなくて、ハゼの実から取り出せる油脂を使って作られているんだ。
和ろうそくって見た事ないかも!今では西洋ロウソクばっかりだよね?
そうだね。明治時代に西洋ロウソクが日本に来てからは、安価で作れる西洋ロウソクが普及したね。和ろうそくは職人さんの手作りのものが多くて比較的に高価だから、あまり一般的に購入されていないかもしれないね。だけど、仏壇に灯すロウソクに和ろうそくを使用する人も多いみたいだね。
和ロウソクは油煙が少なく蝋(ろう)が垂れにくい
どうして今でも高価な和ろうそくをわざわざ買う人がいるの?
和ろうそくは油煙が少なくて仏壇を痛めにくいという特徴がある。西洋ロウソクはどうしてもパラフィンの油煙で仏壇の金箔を汚してしまうようだから、和ろうそくを使う人も多いようだね。そして西洋ロウソクは使っていると蝋(ろう)が垂れていくけど、和ろうそくは蝋が垂れずに美しいまま燃え続ける。炎も消えにくいし自然に揺れるから西洋ロウソクと違って少し幻想的な雰囲気があるね。
そうなんだ!同じロウソクでもそんなに違いがあるんだね!
THE MAKING (264)ろうそくができるまで
和ろうそくの灯芯(とうしん)は和紙にイグサを巻いて真綿を巻いて固定するのか〜!全部植物で出来てるんだね!
何から何まで植物で出来ているし、かなりの部分が手作業だね。和ろうそくの職人さんは日本全国に500人くらいしかいないそうだ。海外からも注目されている和ろうそくだけど、もっと需要が増えて、職人さんが増えないと、後継者が少なくなってしまう。
なんでも機械で出来ると思ってたけど、畳と一緒で職人さんがいないと作れないものもいっぱいあるんだね〜!
こういう手作りのものを見て欲しくなった人は、きっと無駄なく貴重なものとして扱ってくれるだろうね。日本には物が溢(あふ)れかえっていて、余計なものまで買ってしまう事もあるけど、一つ一つのものを大切に扱う気持ちが増えれば、資源の無駄遣いにも気付けるかもしれないね。
ロウソクの用途が昔とは違う
ロウソクの炎を見ているとなんか落ち着くな〜。もしかしてロウソクの炎にリラックス効果とかあるの?
ロウソクの炎から「マイナスイオン」が出るとか、炎のゆらぎかたが「1/fのゆらぎ」だとか言われている。それが実際に癒しの効果がどこまであるかは分からないけど、山に登った時に風を感じたり、木がざわめく音を聞いたり、海で波の音を聞いた時に何故かリラックスするのと同じように、自然の波長は人間の心を落ち着かせる効果があるのかもしれないね。
僕も山の中は落ち着くな〜。都会の車の走る音やクラクションの音ではリラックス出来ない。家の中でも電灯の光はやっぱり刺激が強い気がするんだよね。僕もロウソク買ってもらおうかね〜。
今もあるけど、一時期アロマキャンドルが流行ったね。香りと自然な光が楽しめるからリラックス効果があるというのは、以前から認識されていたみたいだね。だけど、日本ではロウソクの需要が少ない。欧州や韓国ではロウソクの需要は高いものの、日本ではいまいち売れていない。
日本ではどうしてロウソクが売れないの?
ロウソクが売れないのは日本人の国民性?
海外でも日本でも癒しの効果を求める気持ちは同じだろうけど、火事になる危険性を日本人は強く認識しているのかもしれないね。日本人はもしかするとロウソク需要が高い国の人たちに比べるとリスクを取りたがらない国民性があるのかもしれない。
もし火事になったら大変とかを考えるってこと?
そうだね。その証拠という訳ではないけど、ロウソクに似せた電池式のキャンドルなんかが売れたりしてたよね。リスクを回避して「それっぽいもの」を手に入れる。本当に欲しいものを手に入れずに、管理する必要がなくて、リスクのないもの「それっぽいもの」で満足できるなら良いけどね。
リスクのないものに越したことはないけどね。でも、本当に使いたいものを使わないのはもったいない気もするね。ロウソクの火で火事になる事もあるの?
ロウソクの火で火事になる原因
年間100件もないけど、ロウソクが原因で起こる家事はあるよ。ロウソクを付けたままの外出・部屋の移動・就寝が主な原因と言われている。風通しの良いところにロウソクを立てていた事でロウソクの火が燃え移ったり、ロウソク自体が倒れたりする。正規の燭台(しょくだい:ろうそくを立てるための台)を使っていれば安全だから、そういったものを準備しておいたら良いね。あと、当然だけどロウソクの周りに燃えるようなものを置いとかないでね。
管理をしっかりしていれば良い訳だね!ロウソクを付けたまま外出は怖いね。僕のママは外出するときストーブとかホットカーペットとかもちゃんと電源を切ってって良く言ってる!
そうだね。どんなものでもトラブルを起こす危険性があるからね。これはロウソクだけじゃなくて、電化製品全般に言える事だね。
ユダヤ教徒とロウソク
旧約聖書には安息日にしてはいけない事として、耕すこと、刈り入れること、火を焚くことなどを上げている。神様は天と地と、その万物を6日間で完成させ、7日目に休まれた。だからみんなも7日目(土曜日)は安息日として休みましょう。仕事をしてはいけないよということになったんだ。それを厳しく守り続けるユダヤ教徒の人たちにとって、電灯のスイッチを入れることも仕事になる。だから安息日はロウソクの火を灯し続けるんだ。
すごいルールがあるんだね!スイッチも押せないのか〜!でもしっかり休みを取るって大事だよね。
そうだね。神様も休むんだから人間も休まないとね。ちなみにユダヤ教の暦では、1日は日没とともに始まりまるとされているから、安息日は金曜日の太陽が沈んだら始める。それまでにロウソクを灯して準備しておくんだよ。
じゃあユダヤ教徒の人にとってはロウソクは絶対なくてはならないものなんだね!
宗教の関わるところでロウソクが必要とされています。それは日本の仏教もそうです。しかしロウソクの用途はそれだけでなく、癒しの効果としての需要は海外で高まっています。
電灯やスマホのライトによって睡眠の質が落ちていると言われていますが、寝る前の2時間前くらいからロウソクを灯し、ゆっくり本を読んで過ごすなんてのも目や脳や心にも良い影響を与えるかもしれません。安全管理をしてロウソクを楽しんでみてはいかがでしょうか。